2011.1.31[Mon]
「秘籥の嘘の舞台裏」

結論から言ってしまおう。
実は、今回BGMを担当してくださった松澤淳志氏は音楽家でも何でもない。

松澤氏との出会いは昨年5月27日。ユニグラバス銀座館での個展を見に来てくださったのが最初である。その時点ではBGMは私自身で選曲して流していた訳だ。何故かお互いに感じるものがあった私達はすぐにお互いに連絡を取るようになり、個展終了数日後には昨年8月に個展をした東松山の珈琲アトリエ「アズ」に集まることになる。たわいもない会話の中で、個展会場で武満徹やシェーンベルクを選曲して流していたことを伝えると松澤氏も大好きだという。うれしそうに話す彼の何とも言えないやさしい笑顔は今でも良く覚えている。

その後、カトリーヌ氏のはからいもあり8月の珈琲アトリエ「アズ」での個展が決定。それが6月4日…松澤氏と出会って一週間後のことである。彼と奥様の三恵子氏は大変喜んでくださり「私たちは素人ですが何かお手伝い出来ることがあれば…」とメールをくれたのだ。つまり搬入や搬出などの雑事に関すること。しかし、何度考えても不思議なことだが私は迷うことなく「BGMをお願いします」と返信したのである。後から知ったことだが、彼は私と出会う以前からアートと音楽を融合させた音響空間演出をやりたいと思っていたようなのだ。私は100%お任せします…とだけ伝え、松澤氏が構想するBGM(選曲)のコンセプトについてのメールを日々楽しみながら選曲された曲に対しては一切チェックなしで搬入日を迎え、三恵子氏のボックスフラワーアートにも彩りを添えていただき、楽しい夏を過ごしたのである。

その楽しい夏のさなかに、私は今回のギャラリー健での個展のテーマ「アルベルチーヌの置き手紙に隠された秘籥の嘘」を手渡したのである。もちろんBGMを依頼するためである。それに対し、松澤氏は次回はハードルを上げたい。オリジナルのBGMを作りたい…と私に伝えてきたのだ。

今でも何故、私自身それでいこうと踏み切ったのかは不思議でたまらない…松澤氏はそれまで曲作りというものを一切したことがなかったからだ。つまり、松澤氏がどんな音を作ってくるか何ひとつ判断材料がなかった時点でスタートを切ったのだ。ただ、間違いなくあったのは私の中での根拠のない「確信」だけ。不安は全くなかった。

私は9月にはDMに彼の名前を入れ、デザインし、発注した。年末には搬入準備もほぼ完了。
彼は膨大な資料を集め、読み、素材を集めた…12月末まで。

私は正月は実家に帰り、雑煮やお節を食べ、のんびり過ごした。
彼は正月返上で、自室スタジオにこもり、慣れない機材を駆使しながら音と格闘して過ごした。

そして1月5日…やっと私は、松澤氏の作った音に初対面したのである。
全11曲。トータル3時間半超。
それにしても「松澤淳志」という男は一体何者なのか…謎多き、究極のパンク野郎である。

また、再度お伝えするが…
1月13日に発信したメッセージの中で松澤氏のBGM全曲(ショートバージョン)の視聴が可能である。是非ともご堪能いただきたい。

これが、今回終了した「アルベルチーヌの置き手紙に隠された秘籥の嘘」の舞台裏。
こんな素敵な「奇跡」がいつも私の心に勇気を与えてくれているのだ。

どんな窮地にも屈することなく私の個展にBGMを捧げてくれた松澤淳志氏。そして、陰ながら彼を支え続けた奥様の三恵子氏に心からの賛辞を。
そして常に太陽のようなやさしい笑顔で支え続けてくださったギャラリー健の金子氏・その他スタッフのみなさま、寒い中に会場に足を運んでくださったみなさまに、この場をもって最大級の感謝を申し上げます。

私は、私をとりまくこのような素晴らしい方達に支えられ、次なるテーマに向って進みゆくのだ。

2011.1.29[Sat]
「心の中に内在する存在」

ギャラリー健での個展「アルベルチーヌの置き手紙に隠された秘籥の嘘」も今日を入れて残り2日となった。今回の展示風景を日々撮影しながら思うのは、ギュスターブ・モローの残したこの言葉…

わたしは手に触れるものも、
目に見えるものも信じない。
ただ目に見えないもの、
感じるものだけを信じている

私の心の中に内在する存在は、オーロラに包まれた冷えた監獄「サンタンジェロ城」へと続くのだ。
話は変わるが、会期中私が撮影した会場風景写真をS氏のご協力の元、Flickrにアップしていただいた。この場を持って感謝申し上げます。
※バーチャル個展をお楽しみください。

1.下記アドレスにアクセス
2.please click hereをクリック。

http://www.flickr.com/photos/norisa/sets/72157625796424121

2011.1.27[Thu]
「歴史」

私には松澤氏の他にイメージの触発をし合う友人がいる。イタリア語の通訳をしている方であり、松澤氏と同様、昨年夏に個展をした珈琲アトリエ「アズ」に集う仲間の一人である。本人の希望によりここでは本名ではなくニックネームでご登場いただくことにする。

氏はカトリーヌ(昨年、ニューイタヤの個展で私の親戚が集う夕食会に半ば強引に同席させられ、酔った勢いで突如命名される)と呼ばれている。次なるテーマに、ローマ「サンタンジェロ城」が浮かんでいることも、カトリーヌ氏とのたくさんの偶然の共有やイメージの触発が引き起こしたことに他ならない。奇跡とも思えるそれらの出来事はあまりにもたくさんあり過ぎて、今は整理がつかない状態であるが、今回はそんな中から少しだけご紹介することにしよう。

まずはカトリーヌ氏のイタリア語の恩師、フィリッポ・フィオレンティーニ氏について…
フィリッポ氏は小学館の和伊辞典の出典に関わり、また1986年より日本にてリンガビーバ・イタリア語教室講師として貢献。イタリアにおいてはトスカーナ州、サン・マルティーノの地でオリーブ農園を経営。上質のオリーブオイルを絞り、そしてオリーブの老木からまな板を作り出した人物である。

そのフィリッポ氏の訃報をカトリーヌ氏から聞いたのは昨年11月5日(命日は9月22日)。既に葬儀は終わっているとのことであった。カトリーヌ氏の悲しみは大変大きなものであり、私はフィリッポ氏との数々の思い出を聞くこととなった。葬儀は9月25日11時(イタリア時間)にサン・マルティーノ教会で行われたとのこと。私は何故かその時感じるものがあり、その葬儀が行われた日を辿ってみたのである。9月25日11時…日本時間は…同日の18時…まさに、カトリーヌ命名の日時に寸分違わず一致したのである。偶然と言えば偶然で終わる話かもしれないが、何かとてつもない運命のようなものを感じた瞬間であった。

その後、大変にお恥ずかしい話ではあるが、どういう訳か私は恐れ多くも「ミカエル」というニックネームを頂くことになり現在に至る。これもまた偶然であるが、カトリーヌ氏は突如12月にイタリア・ローマに渡ることとなり「サンタンジェロ城」に君臨する大天使ミカエルと対面したのである。そんな訳で次なるテーマの基軸になるモチーフは、サンタンジェロ城、大天使ミカエル、聖女カトリーヌ、宇宙、オーロラ、ジャンヌ・ダルク、フィリッポ・フィオレンティーニ…などにイメージが重複しているのだ。

今回の個展の初日、カトリーヌ氏が私に「オリーブのまな板」を届けてくれた。フィリッポ氏の晩年作。世界限定100本のひとつである。オリーブの木の香り、ずっしりとした重み、取っ手のついたユニークな形、うねる年輪…それはさまざまな啓示を私にもたらし、その想いに流されるままに、私は一気に一遍の詩『歴史』を書き上げた。このまな板はカトリーヌ氏はもちろん、松澤夫妻(淳志氏・三恵子氏)、ギャラリー健の金子氏にも既に渡り、永遠という名の生きた証「歴史」を刻み続けていくのだ。


『歴史』
平和・安らぎ・オリーブを愛したフィリッポ・フィオレンティーニに捧ぐ

樹の歴史
わたしはふしぎでたまらない
長旅してきたオリーブは
どんなけしきを見てきたの?
小鳥とそよ風ささやく愛
蒼く響いたひらく空
雨の心のかそけし夜
枯葉のかげの足の音
寒さのいのちの待ちこがれ
生きた証に刻まれた
つよく おおきく やさしい歴史

人の歴史
わたしはふしぎでたまらない
オリーブと共に生きた人
どんな心を見てきたの?
育むことの心地よさ
過ぎゆく時と手のぬくみ
はばたくことの難しさ
サン・マルティーノの聖果実
恵みかがやく琥珀の光
生きた証に祝福された
つながり ひろがり 紡ぐ歴史


また、一昨日、ある方から赤ワインをいただいた。ラベルには「Chianti Don Angelo」…キャンティ・ドン・アンジェロ(トスカーナ産)…まさに大天使のワインではないか。何と粋な!素敵な出会いがまたここにもあったのである。私は今夜、大きな歴史を残したフィリッポ・フィオレンティーニ氏にこの大天使の赤ワインを捧げているのである。

※フィリッポ・フィオレンティーニ氏のオリーブのまな板の詳細はこちらから…
 http://www.ibento.jp

2011.1.23[Sun]
「私の主題」

私は骨を素材として作品制作に取り組んでいるが、決してBone Artを表現したいのではない。私をとりまく勇気を与えてくれる方々とのイメージのコラボレーションが主題。骨はあくまでその主題を透かし見るフィルター。元気になってほしい人、幸せをつかんでほしい人、苦しみを乗り越えてほしい人、哀しみから羽ばたいてほしい人…。その方々との共有、共存の中から「つながり」「ひろがり」「紡ぐ」想いを何かのカタチにしたいのである。その方々に贈り、また自分自身の胸に語り聞かせる「生きる証」を、そして「歴史」を胸に、また明日を迎えるのである。


「公共広告機構/CM」より

これでいいのだ。
それは、赤塚不二夫さんが、
漫画の中で幾度も繰り返してきた言葉。
現実はままならない。
うまくいかないことばかり。
毎日のほとんどは、これでよくないのだ、の連続だ。
自分を責めて、何かを責めて。
そして、やっぱり自分を責めて。
だけど、ためしてみる価値はある。
これでいいのだ、という言葉のちからを。
信じてみる価値はある。
あなたが、もうこれ以上どうにもならないと
感じているのなら、余計に。
胸を張る必要はないし、
立派になんて、別にならなくたっていい。
「あなたは、あなたでいいのだ」
あなた自身がそう思えば、世界は案外、笑いかけてくれる。
人生は、うまくいかないこと、
つらいことと、つまらないこと。
そのあいだに、ゆかいなことやたのしいことが
はさまるようにできているから。
どうか、あなたの人生を大事に生きてほしい。

2011.1.20[Thu]
「置き手紙を読む」
私の手元に残された「アルベルチーヌ置き手紙」には、サンタンジェロ城から無限宇宙への道が示されている。そこに鳴り響く「慈悲の鐘」の音とは一体…詳細は後日…。

※下記 再生ボタンをクリックすると
 現在開催のギャラリー健の会場風景をスライドショーでご覧いただけます。



2011.1.18[Tue]
「秘籥の在処」

いよいよ本日から2週間にわたり、ギャラリー健での個展「アルベルチーヌの置き手紙に隠された秘籥の嘘」が幕を開ける。ここに来て細かな説明はもはや不要であろう。5ヵ月の間、想いを巡らせた「秘籥の在処」をみなさまにも是非ご来廊の上、自由に探っていただきたいと思う。この個展でのみなさまとの出会いは、また更なるイメージの展開に結びつく可能性をきっと秘めていることであろう。

2011.1.13[Thu]
「共鳴」

松澤淳志氏制作による今回のBGMを、会期前ではあるが体感していただきたくショートバージョンでご紹介したいと思う。私の抱く「アルベルチーヌ」のイメージに非常に迫る音でありながら、それを更に超越した捉えようのない距離感も同時に備えている。まさに「アルベルチーヌ」というべきか。会期中どのような「共鳴」を体感できるか非常に楽しみである。私の稚拙な説明より実際に聴いて感じていただく方が早いであろう。

※下記タイトルをクリックするとお聴きいただけます。

【1】「Whales in The Sea of Tranquility〜静かの海のクジラたち」
【2】「An absent room〜不在の部屋」
【3】「An atelier of Bacon〜ベーコンのアトリエ」
【4】「Crucifixion〜磔刑」
【5】「Leave a letter〜置き手紙」
【6】「Obsession〜偏愛」
【7】「Poets of the bottom〜水底の詩人たち」
【8】「Hear nothing〜消息不明」
【9】「Helix〜時空螺旋」
【10】「In a rainy room〜雨の降る部屋で」
【11】「Bloodhound〜執拗な追跡者」


準備期間中、私も松澤氏も「アルベルチーヌ」に対するイメージの奥深さに取り憑かれながら、お互いに手の内を明かすことが不可能な楽しい時間を過ごしたのである。前回のメッセージの中で〈時折「アルベルチーヌ」から派生するイメージについてジャブを交わし合うのみ〉などと書き込んでしまったが、これがとんでもない勘違いであった。改めてこの5ヵ月間に氏とやりとりしたメールの送受信総数を数えてみて驚いた。少なくとも700件以上あったのだ。どうしてこんな勘違いが生じたのであろうか…。内容としては大真面目なことから本当にくだらない内容まで多々あるのだが、殆どは「言葉遊び」をしながらの探り合い。そしてそれは今でも枯渇することがない状態が続いている。なるほど…「アルベルチーヌ」はそれほどまでにイメージの宝庫であったのだ。

そして今、私の中で「アルベルチーヌ」は少しずつであるが「サンタンジェロ城」そこに君臨する「大天使ミカエル」へと姿を変えつつある。そんな中、松澤氏がふいに「オーロラ」の話をしてくれたのである。氏は私と出会う前からオーロラにずっと興味を抱いていたようで、いつかオーロラをテーマにした音響作品を作りたいと、既にオーロラの電磁波音(聴こえる光)を採集しているというのである。私の中で突如、天界と地上を結ぶ「大天使ミカエル」がオーロラの揺らめく光となって翼を広げ始めてしまった。

オーロラは太陽風の中の荷電粒子が地球の磁力線に触れて発光する現象。そし て、大天使ミカエルは中世の歴史思想「セクンダディ」の「7人の天使による惑星の支配」において太陽を司る存在であり、現在地球の守護期間(1881年〜2235年)にあたる。大天使ミカエルの「炎の剣」「天秤」「孔雀の翼」が地球に張られた磁力線というハープをかき鳴らす。そこから「聴こえる光」は女神アウロラを祝福するカストラート「アレッサンドロ・モレスキ」の歌声か。南極・北極の神秘の光の鍵はススよりも光を反射しない小惑星アウロラの無意識的記憶の中に潜み微笑む。キリストの受難を象徴する10体の天使達に何故かふいに囁くアルベルチーヌの影。そしてアルベルチーヌはナポリ湾の人魚伝説セイレーンと化してプルーストを海底へと誘う…。ミルトンの『失楽園』やダンテの『神曲』の磁場に封じ込められた堕天使ルシファーの嘆きとは一体…。通常では到底結びつきもしないイメージの氾濫で現在のところ脳ミソがパンク状態。テーマとして成立させるにはまだまだ時間が必要なようだ。ただ、こういった世界を、直接的ではないにしろ「頭蓋骨」を通して私なりにカタチにしてみたいと思っているのは事実であり、また私のこうしたイメージに対して啓示をくれる存在が、実は松澤氏の他にも存在していることも事実なのである。イタリア・ローマ…「サンタンジェロ城」…解き明かすことの不可能な世界がまた降りてきた。

2011.1.6[Thu]
「個展のお知らせ…松澤淳志氏のイメージの奔流」

2011年を迎え、ギャラリー健での個展まで10日あまり。準備も着々と進む中、以前ご紹介させていただいた松澤淳志氏のBGMを昨日初めて聴くことができた。昨年8月の珈琲アトリエ「アズ」の個展では選曲という形で参加していただいたのだが、今回のBGMは松澤氏の完全オリジナル制作によるものである。思えば今回の個展のテーマを5ヵ月前に氏に提示した訳だが、不思議と通じ合うものがあり、時折「アルベルチーヌ」から派生するイメージについてジャブを交わし合うのみ。具体的に「こんな音が欲しい」などの打合せは全くと言っていいほどなく、安心して100%おまかせ…という状態で進んできた訳だ。氏は制作プロセスの中で膨大な資料・素材を収集し、あらゆる角度から「アルベルチーヌ」に切り込んでくれていた。
一言感想を述べておこう。ただただ圧巻である。氏は私の掲げたテーマの枠に安住することなく以下のキーワードを掲げイメージの高飛びをしているのだ。「アルベルチーヌ」を核とした、私と松澤氏の正面衝突のコラボレーションになるであろう。

クジラやオルカの「歌声」、アポロ11号の交信記録、月面の静かの海に着陸した搭乗員、無人惑星探査機ボイジャーが捉えた惑星の音、ローレライの魔女のように宇宙を彷徨うアルベルチーヌ囁き、海鳴りや強風の恐怖、スクラップ工場、ベーコンのアトリエに飛び散ったインク、オオカミ(獣としての人間)の遠吠え、解体される肉体の痛みと神経の絶叫、手紙を書く残り音、すすり泣き、常軌を逸した神経から発せられたノイズ(心の揺れ)、アルベルチーヌを失った話者の独白、無線が傍受した謎の音声やモールス信号、時空の歪みへ落ちていく無限音階、雨の降る部屋の中に突然現れては消える足音、金属的モジュレーション嵐の三半規管への攻撃…。

時に私に慰めを与え、時に挑発的に裏切る「毒」を含んだ緊迫感溢れる音の嵐が始まりも終わりもなく脳を直撃し、身体は熱を帯び浮遊し始める。特に惑星探査機ボイジャーが捉えた惑星から発せられた電磁波を人間の可聴域に変換した音の美しさや、シェパードトーン(Shepard Tone)を使ったどこまでも落ちていくスパイラル音は聴いていて体力の消耗激しいこと請け合いである。是非ともご来場の上、体感していただきたい。
以下、松澤氏による全11曲のタイトル。トータル3時間半超におよぶ大作である。


【1】「Whales in The Sea of Tranquility〜静かの海のクジラたち」
【2】「An absent room〜不在の部屋」
【3】「An atelier of Bacon〜ベーコンのアトリエ」
【4】「Crucifixion〜磔刑」
【5】「Leave a letter〜置き手紙」
【6】「Obsession〜偏愛」
【7】「Poets of the bottom〜水底の詩人たち」
【8】「Hear nothing〜消息不明」
【9】「Helix〜時空螺旋」
【10】「In a rainy room〜雨の降る部屋で」
【11】「Bloodhound〜執拗な追跡者」

では、改めて今回の個展についてお知らせしておきたいと思う。
期間中は基本的に私は在廊予定である。

佐々木 岳久展
「アルベルチーヌの置き手紙に隠された秘籥の嘘」
観念の黒い影の不在-トゥーレーヌで息絶えた細かな真実の断片と嘘の事実の無数の錯綜

ギャラリー健
埼玉県さいたま市南区関1-1-3
TEL.048-837-5642
http://galleryken.com

1月18日(火)〜1月30日(日)
11:00〜19:00 (日曜日は17:00まで)
※24日(月)休廊

話は変わるが、私の脳裡には次の個展のテーマがおぼろげながら見えつつある。形になるか否かはまだ分からないが、16年前に訪れたイタリア・ローマのサンタンジェロ城である。「ローマの天使」と呼ばれた歴史上最後のカストラート、アレッサンドロ・モレスキ(Alessandro Moreschi)が何の予兆もなく私の背後に立ち現れては消えてゆく。サンタンジェロ城に君臨する大天使ミカエル、そしてシスティーナ礼拝堂で奏でられたモレスキの歌声は一体どんな共鳴を私に与えてくれるのであろうか。



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