2011.7.28[Thu]
『個展のお知らせ』

今回の大震災以降、私は何を表現して良いのか分からず
しばらくの間立ち止まっていたように思う。
これまで積み重ねてきた世界では到底太刀打ちできない大きな壁。
言葉に出来ぬ想い…。
霧の中を彷徨うような気持ち…。
だが、少しずつではあるがこれまでとは違う世界に
近づくことができたのではないかと思う。
まだまだ何かを見つけたという確信には至らぬが。

今回、私の脳裡をかすめたテーマとは…
我が故郷・宮城県石巻市という土地に昔から宿っているであろう守護精霊の存在である。
そのあたりの歴史的・神話的な事実については私は何ひとつ知らない。
だが、無意識の心の中にある深い結びつき…
つまり郷愁、憧憬、思慕の想いを胸に創造を巡らせてみたのである。

こういった想いに至ったきっかけは去る5月4日…
埼玉県日高市の自家焙煎珈琲「ジュリアン」で開催された
チャリティー・コンサートで聴いたボサノバである。
ボサノバには「Saudade」=サウダージという単語がよく現れる。
ボサノバの根底を支えている魂とも言えるもの。
ポルトガル語およびガリシア語であり「郷愁」「憧憬」「思慕」「切なさ」などの意になるのだが
これらの言葉では訳しきれない多面的な意味合いを持つ独特の言葉なのだ。
日本人には理解を超えた世界なのかもしれない。
だが、今回の震災で失われた故郷を目の前にして感じたこと。
それはまさに私にとってのサウダージであったように思う。
それはつまり…

この世に永続的なものも
頼ることのできる不変の拠り所も存在しない。
そんな明らかで疑う余地のない事実によって
意識が貫かれたときに感じる
締めつけられたような心の痛み。

そんな想いなのだ。
私はそれを、土地の守護精霊ゲニウス・ロキのイマージュに重ね合わせてみたかった。
ただ、それは何故かとても静かでエロティックな世界に通じているのだ。

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佐々木 岳久 展
『ゲニウス・ロキの琴線に触れた箱庭廻廊』
我が故郷・宮城県石巻市への郷愁、憧憬、思慕。

【会期】9月12日(月)〜9月30日(金)
【OPEN】平日[10:30〜18:30]・土曜[11:00〜18:00]
【定休日】日曜・祝祭日・第3月曜
     ※25日(日)は営業、13:00開場
【会場】珈琲アトリエ「アズ」
    埼玉県東松山市材木町1-17
    http://www.ascoffee.jp
【友情参加】松澤 淳志(BGM)
      松澤 三恵子(フラワーアート)
      金子 ヨリ子(コンサート企画)
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尚、会期中下記日程にて木村 純 氏によるボサノバ・コンサートが開催されます。
ご予約・お問い合わせは 珈琲アトリエ「アズ」まで。
この日は偶然にも1年前のフィリッポ・フィオレンティーニ氏の葬儀の日に一致しているのである。

『午後のSaudade ボサノバ・ライブ』

【日時】9月25日(日)※13:30〜 ※16:30〜(2回公演)
【出演】木村 純(ボサノバ・ギタリスト)
【入場料】3,000円(コーヒー・デザート付き)
※定員になり次第、予約受付を終了させていただきます。
※開場は開演の30分前となります。

木村 純 オフィシャルサイト http://jun-kimura.jp
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また、報告が遅れましたが5月4日の自家焙煎珈琲「ジュリアン」で開催された
チャリティー・コンサートの義援金は私の故郷、石巻市福地地区へと寄付させて頂きました。
みなさまのお気持ちに感謝申し上げます。
ありがとうございました。



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