2018.10.31[Wed]
『天の川』

故郷『石巻市』のわたしの実家付近では
非常に美しい『天の川』をはっきりと観ることができます…

わたしは帰省する度に、此の『天の川』を眺めます…
時折『人工衛星』が飛んでいるのも観えるのです…

話は変わり…
1983年、私が小学生の時でした…

『スペースシャトル』の『チャレンジャー号』が
『石巻市』の上空を飛行するといふ『テレビ・ニュース』が報道され
わたしは其の時間に待ち構えて、まさに目撃したのです…

『スペースシャトル』はミッションによっても変わりますが
時速、約2万8000kmで飛んでいると言われています…

『チャレンジャー号』は、報道された時間丁度に
『石巻市』の『天の川』にやってきました…

途轍もなく眩い強烈な光を放ち、夜空の端から端まで
1分もかからずに駆け抜けていきました…

其の3年後に
あの『チャレンジャー号爆発事故』が起きるとは
想いもしませんでした…

わたしが『宇宙創生神話』や『ジョルダーノ・ブルーノ』について
想いを巡らせているのは、こふした『天の川』のもとで育ったせいなのかもしれません…

故郷の『天の川』…

『東日本大震災(311)』で亡くなられた方々は…
可視的な『七つの遊星天(ヘブマドス)』や『第八の恒星天(オグドアス)』を超越して
不可視の『プレーローマ』の世界に、きっと抱かれているのでしょう…

大切な方々の『魂』を
わたしは片時も忘れないで、胸に刻んで生きてゆこふと想います…

( 2018.8.14[Tue]『ふるさと』・参照 )

2018.10.30[Tue]
『未熟者』

わたしが生み出す『色彩』…
例えば、本日掲載した此の作品のよふに
『黒』の色彩が塗り込められていることが…
観る人々に、暗い印象を与えることが少なくないですが…

其れは、わたしにとって…
必ずしも『ネガティブ』な感情を表現している積りはないのです…
此れはただ単に、わたし自身の持つ性質の『波動が重い』だけのこと…

そして『芸術』とは、単に美しい『物質』を創ることではありません…
其れは、今まさに足下にある今ここにある現在の
『瞬間』の生や世界をしっかり踏みしめ
其の地道な歩みの結果、目的地に至ること
それを丁寧に味わって歩むことに他ならないのです…

イタリアにも、以下の諺(ことわざ)があります…
『Chi va piano va sano e va lontano』
(ゆっくり行くものが、遠くへ行く)といふ意味です…

そして此のことは、決して『速度』に支配されないといふ精神が
必要になることも同時に意味しています…
( 2018.10.13[Sat]『仮初め(かりそめ)の精神』・参照 )

然し乍ら、わたし自身の性質はどふしても『迂闊』であるため
生きる上での足掛かりは、どふしても歴史的に偉大な
『哲学者』や『君子』の説に頼らざるを得ません…

何故ならば、彼らの説には
時代を超えた普遍的な『真理』が満ち溢れているからです…

『現在地』をいかに生きるかといふことは
一見、易しいよふで、とても難しいことだと想います…

此処で何よりも大切にすべきことは
己をいかにして捨て去るべきか
いかに『心』を清めるべきか
思い込みをいかに打破すべきか
此処に着眼する必要があると想います…

そふいった意味に於いて、悲しいかな
わたしはまだまだ『未熟者』なのです…

2018.10.29[Mon]
『マリアの福音書』

イエス・キリストの最奥義は
『マグダラのマリア』に伝承されました…
他の弟子には説かれなかった最奥義『マリアの福音書』は
『フィルポの福音書』を、遥かに上回る最奥義であります…

―――――――――――――――――――

【 復活したイエス・談 】
平和があなたがたにあるように。
私の平和を自分たちのために獲得しないさい。
護りなさい。
何者にもあなたがたを惑わせるな。
あなたがたは行って、王国の福音を宣べなさい。
私があなたがたのために指図したこと、
それをこえて何かを課するようなことをしてはならない。
法制定者のやり方でその(法)の内にあって、
支配されるようなことにならないために

………彼はこれらのことを言った後、去って行った(昇天)
すると彼ら(マグダラのマリア以外の、11人弟子たち)は悲しみ、大いに泣いた………

【 マグダラのマリア以外の、11人弟子たち・談 】
人の子の王国の福音を宣べるために
異邦人のところに行く(といっても)、
われわれはどのようにすればいいのか。
もし彼らがあの方を容赦しなかったとすれば、
このわれわれを容赦することなど
どうしてありえよう。

………其の時『マグダラのマリア』が立って、彼ら皆に言葉を送った。
彼女は自分たちの兄弟たちに言った………

【 マグダラのマリア・談 】
泣かないでください。
悲しんだり、疑ったりしないでください。
というのも彼の恵みが(今後も)しっかりと
あなたがたと共にあり、あなたがたを護ってくれるのですから。
それよりむしろ、彼の偉大さを讃えるべきです。
彼が私たちを準備し、
私たちを『人間』としてくださったのですから。

―――――――――――――――――――

…此れに対して『ペトロ』が『マリア』に言った言葉は
また後日…

2018.10.28[Sun]
『宇宙創生神話』

本日掲載の画像はイタリア・ローマの聖天使城『サンタンジェロ城』(世界遺産)…

私に様々な啓示を与えてくれる精神の拠り所である…
訪れた日のことを想い出す…
( 2018.7.3[Tue]『ローマの休日』・参照 )

此処で話は変わって…
『宇宙創生神話』は『宗派』がどのよふな形態を持っていたとしても…
端的に言って終えば、各々の『宗派理論』を成立させるための『おとぎ話』です…

故に、其処には必ず『虚構』が漂っており…
『支離滅裂』な思想も内在しています…

其のよふな観点から『宇宙創生神話』や『宗教』を読み解く際には
全てを『真に受けない』といふことが非常に大切で…
其のための『冷静さ』や『感受性』は必要不可欠だと想います…

然し乍ら、其れらの中には、断片的に『真実』が隠されており
其れを慎重に抜き出し、並べ直す作業をすることで見えてくるものがあり…
其処にわたしは惹かれているのです…

其れらは、人間とは、どのよふなものか…といふ問いで…
生きるための様々な『智慧』です…

人間はハンディキャップを抱えた不完全な状態で此の世界に産み落とされ
何もしないこと、あるいは成すべきことが成されない状態の『自我』にあることは
長い人類の歴史を鑑みれば明白なことです…

人類が共通で持っている霊性(モナド)のスイッチを発動させ
個を超えた霊的次元にアクセスし、己の本性(本来的自己)に目覚める必要があり

其れに成功すると『自我』の『個性化』が行われ
人類は『涅槃の境地』に至れるといふことなのです…

話は変わり『古代』に於いては、例えば『宗教』や『科学』は
真理を追求してゆく術として『混交』され
共に手を携えるといふことが当たり前であったのですが…

『時代』が進めば進むほど、其処には
『境界線』のよふなものが引かれていきました…

然し乍ら…
既成の知識が『科学』の側から破られると
『過渡的な軋み』が生じるといふこともあり…

今現代の世界に於いては、所属を問わず各陣営の論者が
『宗教活用論』や『宗教保護論』に熱中し始めていることも確かなことなのです…

『科学』は確かに人類にとって大きなものをもたらしてくれます…
『科学』がなければ、我々は生きてゆくこと自体も困難になって終います…

然し乍ら、常に『科学』的な見地のみから
事物を観察することに偏り、頼りすぎては
全体像が掴めなくなって終ふのです…

アンリ・ベルクソン(著)の『物質と記憶』に於いては
此のことについて、非常に緻密に分析しています…
( 2018.10.7[Sun]『もののあわれとは人の道』・参照 )
( 2013.9.11[Wed]『ベルクソンの純粋持続』・参照)

以下の動画の(2:15)あたりでは
カンポ・デ・フィオーリ広場にある
『ジョルダーノ・ブルーノ像』が現れる

(2:45)に於いては
ジョルダーノ・ブルーノが
異端者としてかつて幽閉されていた
『サンタンジェロ城』が現れる
(サンタンジェロ城は、かつて牢獄として使用されていた)
――――――――――――――――――――
『Roma』
https://www.youtube.com/watch?v=1g7TrcIlpMk

2018.10.27[Sat]
『ジョルダーノ・ブルーノとユピテル神』

本日の掲載画像は…
ローマ市内のカンポ・デ・フィオーリ広場に立つ
『ジョルダーノ・ブルーノ』の彫像である…

ジョルダーノ・ブルーノ(著)の『傲れる野獣の追放』には
様々な『悪徳』と『美徳』が、綯い交ぜになり、結びついています…

ローマ神話の主神『ユピテル』は
己の不道徳の改悛をはじめとし、四八星座に配置されていた
神々の悪徳行為を想い起こさせる図像の改悛をしてゆくのです…

『ユピテル』によって招集された神々は
其の『中央審議会』に賛同し
同じよふに各々の不道徳の改悛をしてゆくのです…

つまり…
神々は、彼らの『秘密会議(コンクラーヴェ・Conclave)』に於いて
順番に『星座の善悪』を検討したのです…

故に、ジョルダーノ・ブルーノが擁護している道徳・倫理とは
平和で有益な活動を助け、党派間の闘争を追放する『法』と『秩序』であった…

当時、キリスト教徒が党派に分裂して相争っている其の過ち全ては
エジプトの宗教と其れにブルーノが結びつける一種の道徳律への回帰によって
矯正されるべきものであったのです…

ジョルダーノ・ブルーノが『火刑』されずに
生涯を全ふしていたのならば
此の世界は一体どのよふな様相を呈していたのでありましょうか…

2018.10.26[Fri]
『アウトサイダー』

月面の北緯36度、東経103度には
直径22kmの『クレーター』があります…
其の名は『ジョルダーノ・ブルーノ』…

話は変わり…
天動説を否定し『地動説』を唱え『異端者』として火刑された『ジョルダーノ・ブルーノ』は
16世紀後半の『宗教改革』に揺れるヨーロッパを彷徨い乍ら
『ヘルメス教』の伝統を体現する存在であった…

古代の『叡智』が『ルネッサンス』の表舞台に立ち現れる
其れは、まさに『魔術の復興』であったのだ…

彼は真の『アウトサイダー』であり『魔術師(マグス)』として
世界平和のために『実行動』を起こした大人物であります…

其の後『イタリア統一運動(リソルジメント)』が高揚するなかで
イタリアに於いても、ブルーノへの関心が高まり
20世紀に入ってから、よふやく『ブルーノの名誉』は回復したのです…

いつの時代にも『アウトサイダー』は存在しており…
其れは『地下水脈』となって此の世界を駆け巡っているのです…

( 2018.9.30[Sun]『イエスの教え…グノーシス』・参照)

さて此処で話は変わります…
本日掲載した画像は、わたしが瞻仰するドキュメンタリー映像作家
『岡村淳』氏の『訪日ライブ上映会』告知フライヤーです…

彼は現在、ブラジル(サンパウロ)在住…
あの『牛山純一』の愛弟子であり、かつて放映された人気テレビ・ドキュメンタリー
『すばらしい世界旅行』の映像作家である…

彼の『ドキュメンタリー映像』は数多…
インディオの生活や、大逆流ポロロッカ、吸血コウモリの生態…
最近に於いては、移民したブラジルに於ける日本人移民
社会・環境問題などをテーマとした作品制作を
鋭い切り口で迫る『ドキュメンタリー映像作家』であります…
其の映像は、いつ観ても、言葉を失って終うものがあります…

彼との親交は此処数年に渡っており、非常に多大なる混交があり
此のよふな、ご縁あっての告知フライヤー制作となりました…
(彼は、先日のわたしの個展にも駆け付けてくださいました…)

此処で余談となりますが…
彼は、わたしと同様、今世紀最も偉大な写真家とも言われる
ブラジル・ミナスジェライス州出身の『セバスチャン・サルガド(Sebastião Salgado)』を
こよなく敬愛しているといふ共通項があります…

今回の『訪日ライブ上映会』に於けるテーマは
まさに彼が捉えた『アウトサイダー』たちの集合体…

わたしの『ジョルダーノ・ブルーノ』の作品を
『デザイン化』させて頂けたことは、まさに幸甚の至りであります…

『岡村淳』氏と『訪日ライブ上映会』の詳細は、以下を参照ください…


『アウトサイダーを生きるなかまたち』〜岡村淳ライブ上映会
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http://www.100nen.com.br/ja/okajun/

http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000119/20181026014078.cfm

https://www.facebook.com/ruroudou/photos/a.154007514723389/913553812102085/?type=3&theater

2018.10.25[Thu]
『ゲニウス・ロキ』

『ゲニウス・ロキ(Genius Loci)』とは…
古代ローマ人が取り憑かれた観念で『土地の守護精霊』を意味します…
わたしは、かつて此の『ゲニウス・ロキ』を主題とする
個展を開催したことがあります…
これは『微少神性』とでもいうべきもの…
神々の『ゲニウス』がまとまって特定の土地や場所に結び付いた力が『ゲニウス・ロキ』…
古代ローマ人は、其れによって、土地それぞれの『スタビリタス・ロキ(場所の安定性)』や
土地のペルソナ(土地の個性)を感じていたのだ…
言い換えるのであれば、そのような場所にローマ神の
ユピテル、ユノ、ディアーナなどが居場所を見つけた訳である…

『日本』に於いては…
本日の掲載画像で紹介している民俗学者『柳田國男』の『遠野物語』が挙げられます…
岩手県(南部藩)の『遠野』を囲む山々は、生活の基盤を支えてくれる神聖な場所
『不可視』乍らも、神、化物、妖怪も山には居る
森は人間の住まふ空間と神聖な山とを分ける『結界』其のものなのです
事実、遠野の人々は山に対する信仰を持っていたのです…
少し話が逸れますが、南部藩にとっては『馬』は生活の糧であり、
パートナーであり、財産であり、また、家族として大切にされていますね
今現在に於いてはだいぶ少なくなっているよふですけれど…

はたまた、話は変わって…
『ゲニウス・ロキ』に、とても敏感だった詩人は『ドゥイノの悲歌』で
『われわれがこの世にあるのは、家、橋、泉、門、壷、円柱、鐘楼があるためだ』と綴った
『リルケ』ですね…

さて…
本日は話がうまく、まとまりませんでした…
―――――――――――――――――――
『豹』〜リルケ(著)

通り過ぎる格子のために、
疲れた豹の眼には もう何も見えない
彼には無数の格子があるようで
その背後に世界はないかと思われる

このうえなく小さい輪をえがいてまわる
豹のしなやかな 剛(かた)い足なみの 忍びゆく歩みは
そこに痺れて大きな意志が立っている
一つの中心を取り巻く力の舞踏のようだ

ただ 時おり瞳(ひとみ)の帳(とばり)が音もなく
あがると そのとき影像は入って
四肢のはりつめた静けさを通り
心の中で消えてゆく

2018.10.24[Wed]
『宇宙は輝き、旅を忘れる』

どうぞ御静粛に
今まさに陽の沈む予感はしいんと静まり返って
真っ赤に燃えしきっているの
地球上の全ての生命を司るモナドの身体
またの名はブルーパールと呼ぶらしいけれど
其れは彷徨ふていたわたしの一部に埋もれていて見えませんでした
多くの小さな流れを休めるよふにお茶を入れるの
稲妻の荷馬車が此処を通り過ぎる前に、恩寵に等しいもののために
そして、荒い波長の冥界の鏡に其の姿を映しては
彼の来るべき深淵の言葉と共にありて
あなたにお褒めいただいた日々は一等良く見えて
完璧なお姿を撓(たわ)んでくれることでしょう
そして、モナドは、ヘブドマスに向かって舞い上がる
七つの惑星はとりわけ見事です、それらは邪悪なのですが
そして、七つ目のデミウルゴスの怒りは
ため息まじりに車輪のよふにぐるぐると燃え
ウロボロスは用心深いメロディーの中で、己の尻尾を噛みちぎる
おぉ、何といふことでしょう
オグドアスは永遠の回転秩序に温められており
やはり、人間にモナドの種子を包む係り合いでした
十二は黄道帯上に配され、残りの三六はその外
整序された天上の諸形態を紐解けば
ジョルダーノ・ブルーノの四八区分の星座浄化は
ユピテル神により成し遂げられていたよふです
プリマ・マテリアが見えてきます
気と火は上にあり、水と土は混じり合って泥的
あの泥的なところに暮らしていたのね
第五元素エーテル状流体は、とても寒く、とても綺麗です
下にまだ居る、より劣った地上の事物たちの形態は
溢れる映像の流れを堰き止めて終わぬよふに
光の国プレーローマへ至るための儀式を
フィリポの模造の儀式に依存する、謎の実験だ
そっと歩いてください…と、マグダラのマリアが言いました
肉体を持つみなさまは其の声に振り向きました
あぁ、悲しいことに叡智はあまりに大きく
安堵のあの日のあらゆる日々の中にあって
グノーシスの認識領域と理解領域の合一点
つまり人間の本性が大砲のよふに轟く束の間の漆黒の闇
其の両脇にはソフィアの摂理が佇み、菱形の形態を成して光が囲む
振り下ろした垂直のサーベルは天使たちとの合一、揺るぎなき婚礼
忍耐強く引かれた其の線描に、本来的自己は見つかるのでしょうか
其れでもわたしは行くの、宇宙は輝き、旅を忘れる

2018.10.23[Tue]
『二元論』

『ヘルメス文書』の『ポイマンドレース』は
『グノーシス』の走りと言われておりますが
『ポイマンドレース』=『グノーシス』と断定することはできないのです…

然し乍ら『ポイマンドレース』の思想の中に
『グノーシス思想』の中核を成す『宇宙二元論』に近似したものを見い出すことが出来ます

其れは『ジョルダーノ・ブルーノ』が後に説いた
『相反と流転』の中にも同じよふに流れているものです…

『相反と流転』…
『二元論』…

『二元論』とは、畢竟、相対立する二つの原理である…

例を挙げるのであれば光と闇のよふなもので
其処には和解不可能な有り様で対立する二項

真の自己と身体とすれば『身体二元論』が生じて
それはまさに『プラトン主義』であり
真の自己と全世界とすれば『宇宙二元論』が生じて
其れはまさに『グノーシス主義』なのである

図式的に言ふなれば、其のよふに帰結する…

然し乍ら、此の世界には『宇宙二元論』に
到達しない世界観も存在するのである
其れは和解不可能とまでは言えない
何かしらの程度にある数が零より小さい評価を下す立場である

此れを『悲観的世界観』と言ふ…

本日のメッセージの補足としては
( 2018.10.18[Thu]『ヘルメス文書』 )を参照ください…

2018.10.22[Mon]
『キリスト教とグノーシス主義の歴史』

此の掲載画像は『ヘルメス・トリスメギストス』が記した
錬金術の奥義『エメラルド・タブレット』を主題とした絵画(作者不詳)である…

さて…
『イエス・キリストの磔刑』は
第二代皇帝ティベリウスの時代
『ローマ五賢帝時代』の初期にあたります…

『キリスト教』は、どのよふにして広がっていったのでしょうか…
また『グノーシス主義』はどのよふに発達していったのでしょうか…
此処には、並々ならぬ『苦難』の連続があったよふです…

『イエス・キリストの磔刑』後、ユダヤ教徒の中から
イエスを『メシア(救世主)』と崇める人々が現れ
イエスから直接、最奥義を教わった十二使徒のひとり
『ペトロ』を中心に仲間は増えていきます…

そして其処に『パウロ』が加わります…

『パウロ』は直接的なイエスの弟子ではありませんでしたが
『ローマ市民権』を持ち、皇帝ネロの時代には『キリスト教』の布教に大きな役割を果たしたのです…

何故ならば…
彼はユダヤ人でしたが『ローマ市民権』を持っており、而も大変な教養を備えていたため
『イエス・キリスト』が使用していた『アラム語』を『ギリシャ語』に翻訳することができたからです…
其れにより『イエスの教え』は、よふやく『ローマ』に入り込むことになったのです…

昨日のメッセージで触れた
『マルキオン』にとっての『新約キリスト教義』の復元・回復は
『パウロ』の存在が無ければ、達し得なかったことなのかもしれません…

さて…
『パウロ』の布教によって『キリスト教徒』は少しずつ増えてゆきましたが…
此の当時『ローマ帝国』に於いては『ミトラ教』の信仰が主流…

また『民族の壁』が立ちはだかったため『ローマ人』にとっては
『キリスト教』は其れほど重要視されていませんでした
此の時代の『ローマ史』にも、殆ど『キリスト教』についての記述はないのです…

当時の『キリスト教徒』は、其の殆どが『ユダヤ人』
つまり『ローマ人』からすれば『初期キリスト教』は
『ユダヤ教の一派』といふ認識しか持たれていなかったのです…

そふいった事情もあり、『キリスト教』は『イエス・キリストの磔刑』後
約200年間、ローマの人口の、僅か『1%程度の水準』に留まることになったのです…

そふしている内に、人類至上最も幸福とされた、平和であり社会的にも安定を保持した
『ローマ五賢帝時代』は終焉を迎えます…

ローマ至上最悪の皇帝と言われた『コンモドゥス』の政治腐敗により
ローマの秩序は失われて、皇帝の位も競売にかけられ衰退してゆきます…

また其の後、半世紀にわたる『軍人皇帝時代』に突入したりと
波乱の時代に突入してゆきました…

中でも『軍人皇帝時代』に終止符を打った
『ディオクレティアヌス』によって大規模な『キリスト教迫害』もあり…
『キリスト教徒』にとっては苦しく悩ましい時代が続いたのです…

更に『貧しい人は幸いである』と説くキリストの教えは
当時の貧しい人々の心に、すんなりと広がってゆくのですが
更に信者を増やすための『教会』を作る資金繰りが困難であったのです…

然し乍ら『ラクダの針の穴』の発想の転換によって
次第に富裕層を信者として取り込んでゆくことになります…

そして次第に、大都市に集中していた信者が
周辺の都市や農村部に広がっていったのです…

そふいった経緯で『キリスト教徒』は、紀元3世紀〜4世紀に急激に増加し…
時を同じくして『グノーシス主義』も大きく発達してゆくのです…

然し乍ら、此処で不思議な存在として立ち現れてくるのが
『イエス・キリスト』が生きたのと同時代に著された
『ヘルメス文書』の『ポセイドニオス(紀元前135〜紀元51)』(著)の…
『ポイマンドレース』の存在なのです…
―――――――――――――――――――――――――
『Roma』
https://www.youtube.com/watch?v=p_e3yWI_NHA

2018.10.21[Sun]
『マルキオン』

ここ最近、幾人かの『グノーシス主義者たち』について触れてきましたが
本日は、また別の人物を取り上げてみたいと想います…

その人物の名は『マルキオン』…
後のキリスト教の歴史的意義、其の後の知名度といふ観点から見れば
最も重要な役割を果たした人物とも言えるのです…

本日、掲載した画像の右に位置する人物です

活動時期は詳しくは分かっておりませんが
紀元85年〜160年頃であったろうと推察されています…

『マルキオン』の重要性は、聖書の『正典』という概念を初めて打ち出し
自らの基準に従って独自の『聖書正典』を作り上げたところにあるのです…

彼の思想を『グノーシス』と認めるべきか否かは諸説あり、非常に難しいところですが
其の思想体系は『ヴァレンチェノス派グノーシス』や『バシレイデース』を凌いでいるとさえ言えるのです…

『マルキオン』は、熱心なキリスト教徒であり、
パウロ信奉者、キリスト磔刑について深く思考を巡らせた人物です…

彼は現トルコ、黒海沿岸のローマ属州のポストンといふ地に生まれ
グノーシス派の盛んな地で活動したのち、ローマに渡り、高額の寄付を行い
キリスト教正統派教会に受け入れられました…

然し乍ら『マルキオン』は、正統派教会の会議で『自説』を主張し
『異端者の烙印』を受けて『破門』されることになったのです…

其の後『マルキオン』は、船主の職にあり乍ら
彼独自の『マルキオン派教会』を設立します…

『正統派教会』から激しい『反駁』を受けたにも関わらず信奉者を増やし
其の勢力は、エジプト、メソポタミア、アルメニアにまで拡大したのです
(しかし、衰退も急速であり、2世紀末にはイタリアでは、壊滅状態となりました…)

マルキオンは『異端者』とされたために『正統派教会』による『焚書』が行われ、著書は現存しておりません
(『正統派教会』の『反駁文献』に『マルキオン』の思想が遺っているのみです)

『マルキオンの教説』とは…
簡単に言えば『旧約聖書の神』と『キリストが説いた神』を区別したことにあります…

『旧約聖書の神』は…
劣等な『律法神』であり、世界を創造し
それを厳格な律法でもって治める神である
この神は正義の神ではあるが、恵みや愛というものがない…

『キリストが説いた神』は…
『福音の神』であり、劣等な旧約の『律法神』よりも高次の天界におり
完全な善と憐れみと愛を持つ極めて高次の神である…

低次の物質世界に住む人間にとっては、其の本質を完全に理解することはできない
…と考えていたのです

つまりマルキオンは、イエス・キリストのもたらした『福音』について
以下のよふに理解していたと言えます…

――――――――――――――――――――――――――
『至高神(プロパトール)』は、自らとは何の関わりもない
劣等な『旧約創造神(デミウルゴス)』が造った自らとは何の関わりもない『人類』を
純粋な愛ゆえに『旧約創造神(デミウルゴス)』の支配下から『救済』して
自分の元(プレーローマ)に受け入れようとした
そのために『至高神(プロパトール)』は、やむなく自らの子
『イエス・キリスト』を遣わして人類に福音を伝えた
――――――――――――――――――――――――――

此の『マルキオンの教説』は…
『正統多数派キリスト教』とも、一般的な『グノーシス主義キリスト論』と比較しても『異質の思想』なのです…

何処が違ふのかと言ふと…
『正統多数派キリスト教』と、一般的な『グノーシス主義キリスト論』は『犬猿の仲』にあり乍らも
『人間』は『至高神(プロパトール)』と何らかのかたちで結びついており
『至高神(プロパトール)』が『救済』するのは、自分自身が造った『人間』であるといふ共通点があります…

然し乍ら『マルキオンの教説』は
『人間』は『至高神(プロパトール)』によってではなく
劣等な『旧約創造神(デミウルゴス)』によって造られた
『至高神(プロパトール)』は、何の関わりもない『人間』を純粋な愛で『救済』した
…といふのです…

マルキオンは、グノーシス派の『二神論』=『至高神』『創造神』を
『律法と福音に対するパウロの思想』と合体させ
これを極端に理解したものとも言えるのです…

マルキオンは確かに『グノーシス』の色彩も強く持っていましたが
一般的な『グノーシス派』とは際立った違いがあるのです…

特徴的な点と言えば『ヴァレンティノス派プトレマイオス』や『バシレイデース』のよふな
『宇宙創生神話』の独自解釈や『福音書』を創作したのではなく
マルキオンは『正典』を極端に限定し『認識(グノーシス)』ではなく『信仰』を重視していたのです…

当時の一般キリスト教信者は、『イエス・キリスト』の父=『創造神』だと、勘違いしていましたので
マルキオンは、其のような立場から、伝承されてきた『原始キリスト教のテキスト』から
『旧約・ユダヤ教』的な要素を削除して、本来の『新約キリスト教義』の復元・回復を図ったのです
(キリスト教徒にとって旧約聖書は必要ないと考え、本当に必要な文書のみを選択しようとした)

現存しておりませんが、此れが『マルキオンの聖書』と呼ばれるもの
(今で言ふなれば『改竄(かいざん)』になる訳ですけれど…)

当時のキリスト教会では、まだ『新約聖書』なる『正典』を設定してはいませんでした…
様々な『福音書』がバラバラな状態だったのです…

このよふな、マルキオンによる正典の復元・回復への反動として
2世紀以降の『キリスト正統派』の中に於いても
『新約聖書の正典編纂』の動きが推進されることになり、現在の『新約聖書』に繋がってゆくのです…

マルキオンは、キリスト教の歴史において、偉大なる功績を残したのです…

2018.10.20[Sat]
『フロイトとユングの(グノーシス的)無意識心理学』

昨日のメッセージの中に登場した『フロイト』と『ユング』について
少しばかり触れてみたいと想います…

彼らの『無意識心理学』には多分に『グノーシス主義』の
『神秘的思想』が散見されるからであります…

彼らは同時代に生き『無意識心理学』を探求し
現代の『精神分析学の発達』に多大なる功績を遺した双璧…

此の二人はある時期、近接し、蜜月状態となります
然し乍ら、徐々に方向性の違いから距離を置くようになるのですが
わたしは此れについては、其れ程大きな問題ではないと捉えています…

以下の内容は、なるべく簡単にまとめた積もりですが
此れ以上に分かりやすく書くことは困難であり
此処に『フロイト』と『ユング 』の『無意識心理学』の難解さがあるのです…

先づ『フロイト』について…

彼は、脳と心の働きの関連を解明しよふとしました…
其の方法とは『物的(マテリアル)』なものには
全く着眼せず、そして『科学的』ではありませんでした…
(故にベルクソンのよふな心身並行論的な哲学諸問題にはぶつからない…)
『フロイト』は『言葉』の問題
つまり『暗示』によっての精神病患者の研究であり
ある精神病患者の原因は決して『肉体』に於いてではなく
『観念』に於いてであるといふことを発見したのです…
つまりは、人間の心の構造を『自我(ego)』『超自我(super ego)』『快楽原理(id)』の三層構造に分別したのです…
『自我』は氷山の上層部(快楽原理の上)に、『超自我』は氷山の上中下層部を占め
『自我』と『超自我』の一部は海面上に姿を現しています…
『快楽原理』は氷山の下層部(自我の下)に位置して海中にあるといふイメージ…
つまり人間は『快楽原理』といふ本能によって心の満足を求めるが
常に『自我』によって理性的に其れをコントロールし
また『超自我』によって常に道徳的、意識的であろうとする…と説いたのです…

一方の『ユング』は…

無意識を『個人的無意識』と『集合的無意識』に分別して思考しました…
『個人的無意識』とは、個々に於ける慶福的記憶、芸術的体験、創造活動のヒュレーの宝庫です…
人間の行動・思考・判断が、自我と外的世界との相互作用で決まる側面のこと…
他方『集合的無意識』は、人類が普遍的に持つ無意識に存在する個人の経験を超えた先天的構造領域です…
イメージとしては『自我』は球体の上に位置し、其処には『意識』が存在しています
其のすぐ下の深層には『個人的無意識』の層があり『劣等感』などが此処に位置…
『集合的無意識』は球体の中心より最下層深層領域であり
其処に様々な神話的モチーフが位置しています…
語弊があるかもしれませんが、其れはちょうど
『ヴァレンティノス派プトレマイオスの宇宙創生神話』を
上下逆転したよふな構造と、わたしは捉えています…
『自己』は『個人的無意識』と『集合的無意識』のちょうど境目に位置しており
『集合的無意識』の中で仮定される『元型』と呼ばれる力動の作用点から
夢のイメージや象徴を生み出す源が発動され『個人的無意識』の意識と自我に対し
心的エネルギーを介して作用すると説いたのです…

『ユング』が提出した重要概念『個性化』とは
人間は生まれたときから『自我』に囚われた状態にあり
其の意識が『集合的無意識』と深く結びついていない人間は
単なる『個人』であって『個性』には至らぬと説いた…
其処での『個性』は、一般的に周知されているような人間に予め備わり
放置しておいても顕現するというようなものではない
多くの人々は『個人』を『個性』と誤解しており
此の『意識』が、己のことを誤解した状態を『自我』と呼ぶ…

『フロイト』と『ユング』の『無意識心理学』は
此のよふに差異はあれども、どちらにも
『グノーシス古代宇宙創生神話』の片鱗が見受けられます…

特に『集合的無意識』の中で仮定される
『元型』を説いた『ユング』には、其れが色濃く現れています…
何故ならば『元型』の像が神話的で
人類の太古の歴史や種族の記憶に遡るように思考しており
彼が『無意識心理学』に於いて『個性化』を提唱した目的は
『自我』の限界を超えて『完全な自己』に至ることにあったからです…
堕落した世界を乗り越え、正しい知識を得て
最終的には神との合一(無意識)を求めることに他ならない…
畢竟、人間は此の世界に産み落とされた無自覚な状態では
『救済』されないと唱えているのです…
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『Roma』
https://www.youtube.com/watch?v=E0KMT1WvocY&frags=pl%2Cwn

2018.10.19[Fri]
『ミトラ教』

本日掲載の画像はルーブル美術館(所蔵)の
『牡牛を屠(ほふ)るミトラ神と2人の脇侍神カウテス、カウトパテス』です…

イエス・キリストが『旧約・ユダヤ教』の系統ではなく
エジプト、アレキサンドリアの『エッセネ派』…
つまり『ミトラ教』の世界観で育ったことは以前にも書きました…
( 2018.9.24[Mon]『キリスト教のハイアラーキー・参照 )

『ミトラ教』とはアーリヤ人の『太陽神』をまつる『密儀宗教』であり
ゾロアスター教が成立する前からイラン人に信仰されており
アケメネス朝ペルシア帝国の時代には小アジアにまで広がりました…

そして、紀元前1世紀にローマのポンペイウスが
小アジアを征服しことを機にローマに伝わっていったのです…

ローマ帝国でキリスト教が公認される前の紀元3世紀には
『ミトラ教』はローマの神々と融合し、多くの神殿が造られ
『ローマ国家神』として祭られたこともありました…

『ミトラ教』の密儀の内容は、牡牛を屠(ほふ)り…
その脂肪と髄から作られた飲料を飲むと不死となるという類のもの…

現代では、12月25日はイエスの誕生日…
『降誕節(クリスマス)』が当たり前になっていますが…

実は12月25日は、もともとは
『ミトラ教の祝日(太陽神ミトラの誕生日)』であったのです…

此の『ミトラ教』から『グノーシス』が派生してゆく…

『グノーシス』は『キリスト正統派』によって
反駁され衰退してゆきましたが
此の『グノーシス』の高度な『神智学(マイトレーヤ)』は
現代にも脈々と流れています…

例えば…
精神分析学の創始者として知られる『フロイト』や
分析心理学を創始した『ユング』の精神にも…

特に『ユング』に於いては…
色濃く『グノーシス思想』が散見されるのです…
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『Roma』
https://www.youtube.com/watch?v=oTw-kvXS9Sk

2018.10.18[Thu]
『ヘルメス文書』

『ヘルメス文書』は様々な異端者によって書き遺された
『グノーシス文献』です…

それぞれに解釈の違ふ内容が書かれており
作者不詳のものもあります…

特に…
『ヘルメス文書』の中でも
CHX 『ヘルメス・トリスメギストスの鍵』などは…
作者不詳の著作です…

『ヘルメス・トリスメギストスの鍵』に於いては
身体的二元論に立脚していることはアプリオリであり
身体的諸感覚の停止が理想とされ、沈黙が命ぜられているのです…

『神的』『美』『善』などを意味づける『伝統的宇宙構造』が其処にはあり
故に悲観的世界観が其処にはあるのです…

然し乍ら宇宙二元論に於いて其れを見る時
そこには大きな断絶が生じて終います…

最も古い『ヘルメス文書』…
ポセイドニオス(著)に於ける『ポイマンドレース』の宇宙観に
話を移行してみましょう…

『ポイマンドレース』の宇宙観は
積極的に星辰界を『悪』として宣言しており…
CHX 『ヘルメス・トリスメギストスの鍵』に於ける
『伝統的宇宙構造』の悲観的世界観は
『宇宙的二元論』にまで『飛躍』するのです…

『ポイマンドレース』に於いての魂の帰昇についての教えは
七つの遊星天が第一から第七の『層』として
第八天は第八の『性質(ヒュシス)』として出てくるのです…

此処で補足ですが『ポイマンドレース』は『ヘルメス文書』に収められており
『グノーシス』の走りと言われておりますが
『ポイマンドレース』=『グノーシス』と断定することはできません

以下は『ヘルメス文書』の
『ポイマンドレース』CHI (25-26) 〜の引用となります…
『ヘルメス文書』の中でも『ポイマンドレース』の宇宙観は
突出していることが伺えます
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人間はさらに上へと急ぎ、
第一の層には増減の作用を、
第二の層には悪のたくらみを、計略を、無作用のまま、
第三の層には欲情の欺きを、無作用のまま、
第四の層には支配の顕示をもう願わしくないまま、
第五の層には不遜な勇気を敢えてする軽率を、
第六の層いは富の悪しき衝動を、無作用なまま、
第七の層には隠れ潜んだ虚無を返す。
すると、彼は組織の作用力から脱し、
本来の力となって第八の性質(ヒュシス)に至り、
存在する者たちと共に父を賛美する。
そこに居る者たちは彼の到来を喜ぶ。
彼は共に居る者たちと同化され、
第八の性質のさらに上にいる諸力が何か甘美な声で神を賛美しているのを聞く。
すると、彼らは秩序正しく父の元に昇り、諸力に自らを引き渡し、
諸力となって、父の内になる。
神化、これこそが認識(グノーシス)を有する人々のための善き終極である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上記の『ポイマンドレース』は紀元前に書かれた文献で…
紀元2世紀のヴァレンティノス派グノーシス主義の
『プトレマイオスの宇宙創生神話』と良く似た思想が見受けられます…
( 2018.9.15[Sat]『古代の宇宙構造』参照 )

此れらは、太陽系の第三レベルの教説…

是等は、差異はあれども『仏教』の思想にも
とても似た姿があるのです…
詳細は…
( 2018.10.14[Sun]『仏教に於ける宇宙観』参照 )

2018.10.17[Wed]
『古事記』

かつて『日本神話(古事記)』に惹かれた外国人(作家)が居りました…
彼の名は『ラフカディオ・ハーン』…

彼は1891年(明治24年)…
島根県の尋常中学校と師範学校に英語教師として赴任してきました…

アイルランド人の父とギリシャ人の母を持つ彼は…
次第に、東洋的な神秘世界に惹かれ、英文に翻訳された『古事記』を読んでは
『日本神話』に関心を深めてゆくことになったのです…

在住は1年3ヶ月と意外と短いのですが
其処には『出雲神話』や『民間伝承』が豊かな土壌となって…

17編を収めた『怪談』をはじめとする多くの名作を遺したのです…
其れは恐怖と幻想の物語…

『ラフカディオ・ハーン』…
日本名は『小泉八雲』…

『古事記』は稗田阿礼が暗唱した内容を語り…
太安万侶が書き記すことで完成しました…
(天武天皇に始まり元明天皇で成立したのです)

『古事記』はまた
葛飾北斎や歌川国芳らによって…
『浮世絵』の創生へと繋がってゆくのです…

『古事記』は更に…
西洋画家の『青木繁』や
芥川龍之介の『素戔嗚尊(すさのおのみこと)』へと繋がってゆくのです

2018.10.16[Tue]
『ナグ・ハマディ文書』

キリスト正統派によって反駁され衰退していった
『グノーシス主義』に関する文献の
多くは失われてしまっていることから…

長い間、キリスト正統派の『反駁文献』に引用されている箇所からの研究
あるいは憶測によってしか知る術がなく…

いわゆる『異端』についての歴史的研究は
一部の例外を除いて『正統多数派』側の『反駁文献』の
情報ばかりに頼らざるを得なかったのです…

実際のところは本当の意味での
『グノーシス主義』の歴史の真実を読み解くには
多大な努力を要したのであり、実態は謎の部分が多くありました…

其のような中、1945年…
エジプトのナイル中流地域のナグ・ハマディといふ町の近郊で
全くの偶然にも陶器の壺に入ったパピルスの古文書が
砂の中から掘り出されました…

此れはギリシャ語を、エジプト末期の形態であるコプト語に翻訳した写本でありますが…
写本の多くはグノーシス主義の教えに関するもので…
フィリポの福音書や三部の教えなどのヴァレンティノス派グノーシス主義だけでなく
ヘルメス主義に分類される写本やプラトンの『国家』の抄訳も含まれています…

其れまでにはない程の、真の『グノーシス主義文献』の大量発見でありました…

『ナグ・ハマディ文書』がいつ書かれたのかといふ説は
いくつかの古文書学的な証拠から起源4世紀後半であったと言われており
其れはあくまで筆写され製本された時期…

オリジナルのテキスト其の物が最初に書き上げられた年代は
4世紀後半よりもかなり古い時代に遡ることになります…

『ナグ・ハマディ文書』の発見により
古代キリスト教思想史・異端史の研究は
キリスト正統多数派教会の反異端文書といふ枠から一気に解放されることになり
異端者の生の声が、現代の我々の耳にダイレクトに入ってくるようになったのです…

わたしたちの身の回りの生活は…

実は、知らず知らずのうちに
多くのグノーシス主義の思想が溢れ
取り囲まれているのです…

2018.10.15[Mon]
『心の中での対話』

今回の展覧会に飾り切れなかった作品、数多…
此の作品は其の残骸である…

三週間にわたる展覧会が終わり、安堵感を感じる一方で
わたしはまた来年の展覧会に向けての準備を開始することとなりました…

まずは少し制作をお休みして
様々な文献を読み漁ってみたいと想います…

展覧会開催の前と後では『ジョルダーノ・ブルーノ』や
『グノーシス主義』に対しての想いが少し変化したよふに想ます…
此れらについては、引き続き追求してゆこふと想っています…

其のためには、わたしにとっては…
此のホームページでは紹介しておりませんが…
『鉛筆』や『水彩』によるドローイングが欠かせません…
其れは『和紙』に描くものなのですが…
其のドローイングが、わたしにとっては『最前線』のものであり…
其れ無しでは、今回のよふな表現は生まれて来ないからです…

今回の作品群から、更なる『飛躍』を期待する気持ちは当然ありますが…
其れは、力めば力む程、逃げて終うので…
ゆっくりと腰を落ち着けて取り組むべきなのでしょう…

其の『変化』は、いつも忘れた頃に降りてくる…
あまり意識せず、日々感じたことを、ありのままに進んでいこふと想います…
時間はたっぷりとあるのですから…

さて…
グノーシス主義に於ける『秘教』とは、感情や精神から物質が生まれる思想のこと…
思念を集中すると物質化することを意味します…

つまりは『モナド』=霊的なものが出発点となります…

話は逸れて…
『キリスト教』のみならず…
『仏教』に於いても似たよふなことが言えます…

『仏教』に於いての釈迦の開眼法とは『禅』の歴史…
想いを込め、心を明らかにして真性の理(ことわり)を悟るための修行法であり…
精神を集中し悟りの境地に達することに他なりません…

例えば『仏教(大乗仏教)』には『唯識論』といふ思想があり
『八識』といふ『心の設計図』があります…

『八識』とは…

『眼識』『耳識』『鼻識』『舌識』『身識』にあたる『五識』…
つまり『五感』のこと…

さらに『意識』が続いて『六識』となります…

『意識』とは少し複雑で、眼・耳・鼻・舌・身の
感覚器官によって取り込んで起きる心の作用…
また、睡眠中に起きる心の動き…
記憶の再現や空想…
修行中の意識統一を意味します…

その次に『末那識』『阿頼耶識』が続いて『八識』が成立…

『末那識』とは、潜在意識のことで…
自分ではコントロールが難しい領域の意識…

『阿頼耶識』とは、根本識(ねこんしき)とも呼ばれ
DNAの中に記憶された太古の意識を貯め込んでおく蔵です…

『八識』すべてを感じることは
なかなか難しいことなのでしょうね…

わたしの場合、此れを意識することで
『日常』は、どふしても『迂闊』に陥って終うのです…

我々が住まふ此の物質世界は…
『冥界』其の物であり…
世界は混乱しており殺伐としています…

其処で重要となるのが…
人間の現象世界に何かを引き起こすための『波動』…
つまりは『心の中での対話』です…

『心の中での対話』は…
己自身の中のみならず、心通わせる大切な人達との対話も含んでいるのです…

其れが『智慧』…
世界を清め、開花させ、クリアにするための…
『無意識』『潜在意識』『瞑想』となるのです…

2018.10.14[Sun]
『仏教に於ける宇宙観』

本日掲載の画像は…
『釈迦』の説法を聞いて『仏』に帰依した…
『阿修羅像(国宝)』…

さて、本日を持ちまして…
わたしの個展は終了することとなりました…

其の準備期間は…
想えば長く辛い日々でした…

然し乍ら…
わたしの心は感謝の気持ちで満たされています…

わたしの『ジョルダーノ・ブルーノ』に関しての追跡は
此れからもずっと続いてゆくことでしょう…
まさに、タルコフスキーの『ストーカー』のよふに…

本日のメッセージは、今回の個展の主題から
離れた話題となって終い大変恐縮ですが…

『仏教に於ける宇宙観』に
思考を巡らせてみたいと想います…

仏教にはキリスト教とはまた違ふ…
さまざまな『経典』が存在しています…

東洋の『宗教』もまた…
キリスト教に負けじ劣らず奥が深いのです…

其れらは『輪廻』と『解脱(再死)』の思想です…

『仏教宇宙観』の体系が日本に受け入れられてから
日本各地にこの宇宙観にあやかった名がつけられました…

例えば…
栃木県の『霊山』や『日光』に…
其れらは見受けられます…

『仏教宇宙観』の体系を示す書物には
『須弥山(しゅみせん)』説が述べられています…

『須弥山(しゅみせん)』とは…
『仏教宇宙観』に出てくる創造的な山です…

虚空の中に大きな円盤状の『風輪(ふうりん)』が浮かび…
その上に同じく円盤状の『水輪(すいりん)』が乗っていて…
更にまた其の上に『金輪(こんりん)』が乗っています…

『水輪』と『金輪』の大きさは同じで…
直径120万3450由旬(1由旬=約7キロメートル)…
高さは32万由旬…

そして、『金輪』上の表面に…
山、海、島などが存在しているのです…

『水輪』と『金輪』の境目は『金輪際(こんりんざい)』と呼ばれ…
『もう金輪際いたしません』というような表現に使われています…

此の『金輪際』の一角に…
わたしたちは住んでいるのです…

『金輪』の上には九つの山…
中央に『須弥山(しゅみせん)』が高くそびえたつ…

そして『須弥山(しゅみせん)』をとりまく同心方形の山脈たちが…

『金輪』上に八つの回廊状の海…
内の七つは淡水で、其の外側には大きな塩水の海…

塩水の海に四つの島…
半月形、台形、円形、正方形…

其の内の台形(インド亜大陸)に
第六亜界、欲界の『贍部洲(せんぶしゅう)』が存在している…
其れが我々の住む世界…

『贍部洲(せんぶしゅう)』とは『地球(冥界)(欲界)』に位置しており…
キリスト教に於いての『プレーローマ(色界)』と同等…
更にまた、ヒンドゥー教に於いては『大梵天(色界)』と同等…

『等活地獄』はインドの言葉『ナラカ(naraka)』の意訳…
ナラカの音訳は『奈落(ならく)』である…

今現在でも『舞台の床下』は…
『奈落』と呼ばれています…
――――――――――――――――――――――――――
『第六亜界』とは…
〈三十三天(とうりてん)〉…太陽(妬み)
〈四天王天(してんのうてん)〉…水星(無知)
〈倶廬洲(くるしゅう)〉…金星(欲望)
〈牛貨洲(ごけしゅう)〉…月(闇)
〈勝身洲(しょうしんしゅう)〉…月下界(ベヘモット天)
〈贍部洲(せんぶしゅう)〉…地球(冥界)
〈等活地獄(とうかつじごく)〉…奈落(地下世界)
…となります…
―――――――――――――――――――――――――――
更に其れの上位世界の『第五亜界』は…
〈他化自在天(たけじざいてん)〉…第八天(恒星天)=(楽園・パラダイス)
〈楽変化天(らくへんげてん)〉…土星(デミウルゴス)
〈観史多天(とそつてん)〉…木星(肉の愚かな知恵)
〈夜摩天(やまてん)〉…火星(肉の王国)
…となるのです…
―――――――――――――――――――――――――――

是等は『欲界』のハイアラーキー(ヒエラルキー)なのです…

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国宝『阿修羅像』〜興福寺
https://www.youtube.com/watch?v=WIU8CTn6VMg

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
open 11:00-19:00
※月曜・火曜 休廊  ※最終日は17:00で終了となります

ギャラリーカフェ ストーク
〒365-0037
埼玉県鴻巣市人形 4-4-113
TEL.090-1122-9127
https://gallerycafestork.jimdo.com
●JR高崎線「鴻巣駅」東口から2km

2018.10.13[Sat]
『仮初め(かりそめ)の精神』

いよいよ明日を持ちまして
わたしの個展は閉幕を迎えます…

まだまだ拙さのあるわたしの作品は
今後どのよふに変化してゆくのでしょうか…
私自身、全くもって分かりません…

ジョルダーノ・ブルーノに着眼し、テーマを掲げ…
更にグノーシス主義やヘルメス文書、
古代宇宙創生神話にまで思考は広がってゆきました…

普段の制作活動は全くもって苦悩の連続でしたが
会場に展示することで初めて自身の作品を
ゆっくりと客観的に鑑賞できたことは
何かしらの発見があり、また一種の安堵感もありました…

会場に足を運んでくださった方々
(遠くは異国ブラジル在住の、わたしが瞻仰するドキュメンタリー映像作家、岡村淳 氏)
また作品を所蔵してくださった方々には
この上ない感謝でいっぱいの気持ちです…

そして…
今回のわたしの展覧会をきっかけに…

『ジョルダーノ・ブルーノ』や『グノーシス』の
関連文献を読み始めた…と連絡をくれた友人・知人が
幾人も現れた事は非常に嬉しいことでした…

わたし自身、特別な『宗教観』は持ってはいませんが…
このよふな繋がりは素直に嬉しいのものです…

此処で話は本題に入ります…

我々が生きている此の世界は…
常に『速度』に支配されてきたと言えましょう…

より早く、より遠くへと向かふように
『加速・速力増加』を求められてきました…

其れらは私欲や利益をあくなく追求する経済的自由主義や
資本主義経済などの『獰猛なシステム』を連想して終いがちですが…

実際のところ其れらはただ単に
非常に『禁欲的(ストイック)』な仕組みであるだけで…
わたしたちの『精神』の在り方の問題が此処にある訳です…

我々にとって、未来とは…
決して『約束』されたものではないことは
『アプリオリ(自明の真理)』なことです…

然し乍ら、人々は
其の『未来に約束された大きな富』の享受を心の何処かで信じて
決して逃してなるものかと勘違いし、常に『前のめり』に
『我慢し乍ら行動』して終っていることに気づかないことが多分にあるのでしょう…

飢えて死にたくないといふ『邪念』が常に頭を支配し、
『今此処にある現在』に佇んでいる素晴らしき『生』を
感じ乍ら生きることが難しくなって終います…

つまりは、人生を刻一刻に『喪』に服して生きることに等しく
生き乍らにして、死んで終ふのです…

『生』を『生』としてじっくりと味わふことが
非常に重要になってくることを、ひしひしと感じます…

わたしにとっての素晴らしき『生』とは…
まさに『仮初めの精神』であり
瞬間瞬間に生きること、其のものなのです…

一日の内に、たった一分間でも良い…

日々、移り変わる此の世界…
青空に生まれては消えゆく流れる雲々たち…
其処を跳び交ふ鳥たちの鳴き声…
樹木が風にそよぐ煌めき…
花々が咲き乱れる色彩の戯れなどを…
じっと眺めてみたのなら…

其処には実に膨大なる『素晴らしき生命の神秘の瞬間』を
感じることができるでしょう…

生きとし生けるものたち、そして此の世界は
たちまちの内に光り輝くものとなるでしょう…

まさに、わたしは『セラピス神』の中に
『仮初めの精神』を見い出します…

そしてまた、わたしたちの身の回りには…
不可視の『ゲニウス・ロキ(土地の守護精霊)』が其処此処に存在しているのです…
其れを感じ取ることが、本当の意味での『救済』への道だと想っているのです…

『Roma』
https://www.youtube.com/watch?v=E0KMT1WvocY&frags=pl%2Cwn

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
open 11:00-19:00
※月曜・火曜 休廊  ※最終日は17:00で終了となります

ギャラリーカフェ ストーク
〒365-0037
埼玉県鴻巣市人形 4-4-113
TEL.090-1122-9127
https://gallerycafestork.jimdo.com
●JR高崎線「鴻巣駅」東口から2km

2018.10.12[Fri]
『傲れる野獣の追放』

ジョルダーノ・ブルーノ(著)『傲れる野獣の追放』は…
ユピテルの道徳的改悛と悪徳を象徴する諸星座追放の物語を通じ…
人間の自己改革と新たな自己形成の相を描き出したものですが…

此れにはヘルメス・トリスメギストスが見たエジプトが…
諸学の栄光の只中にあり…
ジョルダーノ・ブルーノは人々がこふした手段で…
神霊や神々と親しく交わり、その結果として…
深い宗教性を獲得するのを眼前にしていたのです…

話は変わり…
17世紀のイギリスの詩人…
あの『失楽園』でも有名なミルトン(著)の…
『思いに沈む人』の中にも、同じよふな思想が流れています…

感覚は此の被造物世界に於いては拘束されたままであり…
魂は肉体と離脱して神性と合一するといふ…
ヘルメス教的法悦が描かれているのです…

その法悦において、不死の魂は肉体を捨て去り…
神霊たちと宗教的な交わりを結び…
その経験がつまりは魂に奇跡的な魔術の力を与えることになるのです…

四大=ヘルメス・トリスメギストス、アスクレピウス、タト、ハモンが現れます…
---------------------------------------
ジョン・ミルトン『思いに沈む人』〜(以下、一部抜粋)

わたしはまた、わたしのランプを真夜中の静寂(しじま)に、
どこか寂しい高い塔の上に置いてしまおう。
そこからわたしは、〈三倍も偉大な〉ヘルメスと共に
しばしば〈熊座〉を夜すがら見守り、あるいは
プラトンの魂を天界から呼び戻し、探ることにしよう。
いかなる世界が、またいかなる茫漠たる圏域が、
不死のこの精神を、それがその肉の束縛の宿りを
投げ捨てたならば、保つことになるのかを。
そしてまたこの神霊たちをも、探ることにしよう。
火に燃え、大気に漂い、流れに浮かぶ、そしてまた地底に沈む彼らを。
その力はかくも親しき、
惑星との、そして四大との交わりが生むもの。

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
open 11:00-19:00
※月曜・火曜 休廊  ※最終日は17:00で終了となります

ギャラリーカフェ ストーク
〒365-0037
埼玉県鴻巣市人形 4-4-113
TEL.090-1122-9127
https://gallerycafestork.jimdo.com
●JR高崎線「鴻巣駅」東口から2km

2018.10.11[Thu]
『グノーシス主義に於ける古代宇宙論』

エジプトの地にギリシャ人の王朝を建てるに際し、
エジプト人神学者とギリシャ人神学者の二人を用いて…
首都アレクサンドリアに新しい神『セラピス』を創始させたのは紀元前4世紀…
エジプト風とギリシャ風の文化混交である…
( 2018.7.30[Mon]『セラピス神』参照 )

アレクサンドリアは、エジプトのギリシャ風都市として建てられて以来…
地中海世界の文化中心として機能していました…

帝都ローマやインドとの航路、交易を持ち
縦横無尽に其の文化を広めていたのです…

新プラトン主義のプロティノスはナイル中流の都市出身で
アレクサンドリアで研鑽を経た後、ローマに渡り…
其処で教授の生活を送ります…

異国から運び込まれる大量の商品がアレキサンドリアの日常生活に浸透し…
其れらは今も多くの遺跡となって留められています…

こうした情勢の中で形成される文化は…
もはやエジプト土着のものではありませんでした…

交通が発達し、政治・経済一体化が進めば進むほど…
文化も一体化され、普遍性を帯び『ヘレニズム文化』として開花します…

当時、アレクサンドリアには…
古代最大にして最高の図書館…
『アレクサンドリアの大図書館』が存在し…
(蔵書は巻子本にしておよそ70万巻)
多くの著名な学者を輩出したのです…

『ヘルメス文書』は、アレクサンドリアや其れと類似した
ナイル沿岸都市を母胎として誕生し…
宗教・哲学作品、占星術作品、
錬金術作品、薬学医学作品、魔術作品など多岐に渡っています…

『ヘレニズム文化』の中に『ヘルメス文書』は位置づけられ…
其の『ヘレニズム文化』を駆け抜けたのが、異教『グノーシス主義』…

グノーシス主義に於ける『古代宇宙論』とは一体どのよふなものなのか…
其れが後に『プトレマイオスの宇宙創生神話』へと繋がってゆくのです…

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
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2018.10.10[Wed]
『流出』

『アイオーン(神)』達が誕生すること…

まさに微生物が、細胞分裂するかのごとくの誕生を『流出』と言います…

『アイオーン(神)』が全能であるといふことは…
少しも疑ふ余地のないことです…

そして、プトレマイオス主義グノーシスにとっての『神々の流出』による『天地創造』は…
古代イスラエルの宗教やユダヤ教に於いてではなく…
ギリシャ哲学、特に『プラトンの哲学』に由来しています…

プラトンと其の学派の場合…
『デミウルゴス』と呼ばれる創造神の役割は…
既に存在していた『イデア』と『ヒュレー』から…
形ある美しい世界を創り出すことに他ならなかったのです…

後の『グノーシス主義』に影響を与え…
中世の『キリスト教神学』にも影響を与えたとされる
『アイオーン(神)』達の『流出』説は…
ネオプラトニズム(新プラトン主義)の…
プロティノスが唱えた神秘思想なのです…

此処で余談になりますが…
プラトンは『独裁政』を唱えていました…
独裁と言ふとネガティブなイメージがありますが…
プラトンの言ふ『独裁』は…
『賢者による独裁』だったのです…

さて、また更に急旋回ですが…
此処で時代を超えて話題を変えてみましょう…

フランスの哲学者…
『アンリ・ベルクソン(1859年10月18日-1941年1月4日)』…

彼の著書にも『流出』に関する箇所があります…

ベルクソンの場合の『流出』は…
『失語症』の研究に於いてのものです…
『心身並行論』は成立しない(物質と記憶はパラレルな関係性にはない)といふ…
歴史的大発見を証明した際に於けるものなのです

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アンリ・ベルクソン『物質と記憶』〜(一部抜粋)

注意すること、知的に再認すること、解釈することは、
合一して同じひとつの働きとなるであろうし、
精神はこの働きによって、自己の水準を確定し、
あたえられたままの知覚にたいして、
遠近を異にするその原因に対称的な点を、
自己の内に選んでから、その知覚に覆い重なろうとする記憶を、
それへ向かって流出させるであろう。

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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2018.10.9[Tue]
『フローラへの手紙』

プトレマイオス著の…
『フローラへの手紙』は…

『グノーシス主義』に於いて…
重要な意味を持っています…

此の手紙はプトレマイオスが…
フローラといふキリスト教信徒の女性に宛てて…
旧約聖書の律法とは何かといふ問題について解説した手紙で…
次のよふな言葉で結ばれています…
―――――――――――――――――――――――――
この教えは、これからも、
あなた(フローラ)にとって非常に大きな助けになるでしょう。
もしあなたが、美しく良質な大地が純正の種子を受け入れる場合のように、
この教えを通して得られる果実を実らせるならば。
―――――――――――――――――――――――――
其れはプトレマイオスとフローラの間に…
キリスト教を媒介とする師弟関係があったことのみならず…
この手紙に於けるプトレマイオスの教えがいわば入門(種子)にすぎず…
其の背後に本格的な理論『グノーシス』が控えていることを…
読み取ることができます…

其れは同時にプトレマイオス自身が…
正真正銘の『キリスト教徒』であったといふことであり…
非常に高度な知識と教養を…
兼ね備えていたことの証です…

『グノーシス主義』は此のようにして…
紀元2世紀半ば〜後半に於いて…

正統多数派教会の立場から言えば…
『大異端者』とされる者たちが…
続々と登場することになるのです…

此処で『手紙』繋がりで、大きく話は逸れますが…
以下にリンクする動画は…
『ゴッホの手紙』に関しての小林秀雄の講演会です…

『ゴッホの手紙』は、わたしも熟読しましたが…
実に魂のこもった『告白文学』でした…

小林秀雄(1902年(明治35年)4月11日 - 1983年(昭和58年)3月1 日)
『ゴッホの人生』
https://www.youtube.com/watch?v=23jyusE_F64&list=PLSJ2jDpCHSfQ8YJcij-ij57Fmh6ipqUxK&index=3

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『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
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2018.10.8[Mon]
『宗教的境地』

わたしが幼き頃、故郷の、宮城県石巻市に住んでいた頃のことです…
実家の近所には、いわゆる『横丁の隠居』と言っても良い人が住んでおりました…

わたしの家に来ては、酒を飲み、真っ赤な顔をして…
傍にいるわたしに対して…
『オッ、頑張れよ!』といふ類のことを何度も何度も説いて…
実に可愛がってくれていたのです…

もちろん、その当時、わたしは『酔っ払いのたわごと』ぐらいにしか想っていなかったのですが…
(特に、其の方に対して、わたしは嫌悪感を持ったことはありませんでした…)

今となってみると…
此れが実にしみじみと深い意味を持って、わたしの心に響いてくるのです…

今現在、わたしは46歳ですが…
率直に言ふなれば、わたしは今、わたしの『無学』さを…
骨身に染みるほど感じているのです…

此れが、5年前、10年前であったのならば…
当然、理解していたと確信していたよふなことでも…
様々な『本』を読んだり、観たり聴いたりする内に…
または様々な方々と出逢い、語り合ふ中に於いて…
実は『間違って解釈していた』『何も理解していなかった』といふことに…
気づき始めているよふなのです…

最近のわたしは…
『読書』を通して、はたと『膝を打つ』ことが非常に多くなっています…
此れにはやはり『年齢』が関係しているのでしょうか…

わたしの今の年齢は…

孔子が『論語』に於いて語った…
『四十にして惑わず』を過ぎて…
『五十にして天命を知る』の中間領域にあります…

其のよふに考えてゆくと、今現在のわたしは…
『自分の生涯における使命を見極める境地』には達していないのであり…

今まさに瞬間瞬間に於いて、その天命を知る時期に向かって…
時を過ごしていることになります…

『年齢(とし)には功がある』とは、まさに言い得て妙だと想ふ訳です…

『横丁の隠居』の精神の中には、今のわたしには
到底、理解不可能な深い『宗教的境地』があるのです…

本日紹介する『小林秀雄』の講演会は実に奥深きものがあります…

そして『プトレマイオスの教説』に於いて…
人間は以下の3つの要素によって形創られています…

【霊・モナド】
【心魂・幽体・コーザル体・原因体】
【物質・肉体】

―――――――――――――――――――――――――

小林秀雄(1902年(明治35年)4月11日 - 1983年(昭和58年)3月1 日)
柳田國男『妖怪談義』について
『現代には宗教的経験が欠けている』
https://www.youtube.com/watch?v=k4t29eIh7sw&list=PLSJ2jDpCHSfQ8YJcij-ij57Fmh6ipqUxK

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
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2018.10.7[Sun]
『もののあわれとは人の道』

わたしは…
『読書』を大切にしてきたつもりです…
主に『哲学』や『神秘思想主義』
『宗教』『魔術』などが多いよふに想います…

読みたいと願ふ『本』は多過ぎて…
とても追いつかないのが現状…

此処で話は逸れますが『哲学』に於いては…
アンリ・ベルクソン(著)の『物質と記憶』を…
基底に於いているつもりです…

ずいぶんと前のことになりますが…
わたしは此の難解な『物質と記憶』を熟読してみたのです…
其れは『マルジナリア』の嵐でした…
そして、今でも其れを『熟読玩味』することがあるのです…

本日アップした画像は、其の赤き『マルジナリア』の痕跡です…

アンリ・ベルクソン(著)の『物質と記憶』は、デカルト(合理主義哲学の祖)以来の『心身問題』を…
最高峰の矛盾と葛藤のなかで思索しつづけた、最上位に位置する『二元論』と言えるでしょう…

ベルクソンは『無』が初めからあるという見方には反対だった…
ヨーロッパに於いて伝統的な、人はタブラ・ラサ(白紙状態)に何かを描くことで生き…
何かを刺繍することで思考するという…強固な考え方を覆そうとしていた…
これは、トマス・アクィナス(『神学大全』・スコラ学)以来の伝統に異論を唱えたことになるのだが…
ベルクソンはこの方針にはかなり頑なで…
なかなか自分の態度や考えを改めようとしないで…
カント(認識論)にもヘーゲル(ドイツ観念論)の言い分にも決して服従しなかったのだ…

其れほど…
ベルクソン哲学の『エラン・ヴィタール(生命の飛躍)』は…
鳥肌の立つよふな『直覚』と『分析』によって成されているのだ…

話は変わり、此れはわたしの個人的な好みの問題であるのですが…
『小説』の類は其れほど読む機会がないのです…

然し『源氏物語』のよふな偉大な『小説』が
存在しているといふことをいかにせんとや…と思ふ訳です…

『源氏物語』…
其処には日本人ならではの『もののあわれ』が…
漂っていることでしょう…

恥ずかしながら…
其処にわたしの不勉強さがあるのです…

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『源氏物語』
https://www.youtube.com/watch?v=1qiE3tka4MQ&frags=pl%2Cwn

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
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2018.10.6[Sat]
『反グノーシス主義のよふなグノーシス宇宙創生神話』

『グノーシス主義』は、非常に高度なレベルの
『神智学(マイトレーヤ)』を保持しており
また、なかなか定義が難しい思想です…

其の強靭さに恐れをなした『キリスト正統派』が…
ありとあらゆる手段や文献の中でグノーシス主義を『反駁』しています…

ある意味に於いて『グノーシス主義』はキリスト正統派の思惑通りに
衰退してゆくといふ運命を辿りましたが…

別の見方をすればキリスト正統派の稚拙な『反駁文献』の中に…
『グノーシス主義』の『秘教』が消えずに残ったといふ幸運もありました…

『グノーシス主義』に於いて…
特に『プトレマイオスの教説』によっての『宇宙創生神話』は…
天界の『至高神』から神々の『下方展開(流出)』によっての成立でした…

然し乍ら『グノーシス主義』によってもたらされた『宇宙創生神話』は
此れだけに留まらないといふ事実があります…

同じ『グノーシス主義』の中でも様々に違ふ教説があり…
中には、あたかもグノーシスが『諸悪の根源』であるかのよふな
決着をして終ふ教説も存在しているのです…

其のひとりが『バシレイデース』…
正真正銘の『グノーシス主義者』であります…

『バシレイデースの教説』は…
詳細については謎のヴェールに包まれており…
その鍵は、キリスト正統派の稚拙な『反駁文献』の中に散見されます…

其れによると『バシレイデース』が正確には
いつ頃、活動していたかの詳細は分かっておりませんが、
おそらく紀元2世紀前半〜後半にかけてであったろうと推察されています…
つまり、プトレマイオスと同時代であったろうといふことになる訳です…

結論から申しますと『バシレイデース』の『宇宙創生神話』の構造図は…
プトレマイオスの其れとは真逆のに近い教説で…
下から上への『上昇』といふ動きで説明しています…
此処で其の詳細については省きますが、プトレマイオスとは
全く違うレベルから『宇宙創生神話』を説いているのです…

『バシレイデース』の其れは、難易度のスケールがあまりに大きく…
キリスト正統派による様々な角度からの『反駁』の中の
何かしらの『基準点』を見い出す必要性があるのですが…
其れが見当たらないために信憑性は非常に謎めいているのです…

近年の趨勢(すうせい)では、キリスト正統派の『ヒュポリトス』による…
『全異端反駁』の解釈を真性と見做す説が優勢です…

其れによると『バシレイデース』の『宇宙創生神話』の起源は
『何も存在しなかった時があった』ということ…
または『神は人間ではなく、人間ではないものでもない』といふ非常に回り口説い教説で…

此の『存在しない神』から人間を含む全宇宙が成立することになるといふ…
『否定神学』と呼ばれるものなのです…

其れは『万物の根源』=『神の超越性』を強調し…
『神智学(マイトレーヤ)』が人間の理解力を超えたものであることを指すのですが…

此の表現にはいわば『自己破壊プログラム』が仕組まれており…
いつでも何処でも爆発して消滅できるよふになっているといふ
非常に『パラドクシカル』な言い回しをしているのです…

然し乍ら…
『バシレイデース』の『宇宙創生神話』に於いての『世界の終焉』は…
確かに宇宙規模での『終末論』にはなるのですが…

『オグアドスの支配者』その他、上の世界に入ることのできない存在が下に居残り、
それらが『憐れみ』を受け、神が大いなる『無知』を其れらに与えるといふ
『幸福物語』になって終ふのです…

何故、プトレマイオスの『世界の終焉』のよふに、
きっぱりとした『人間救済』に至らないのか…

『グノーシス主義』とは、とても考えられない
『反グノーシス主義』とでも呼べるよふな教説となっているのです…

『神は世界を無から創造した』『万物は虚無から成立した』といふ思想は
今では『キリスト教正統派神学』では常識となっています…
此の『無からの創造』といふ帰結を引き出したのが、
実は此のグノーシス主義者『バシレイデース』だったのです…

もし神が『材料(ヒュレー)』をもとにして
其処から宇宙を造ったのだとすれば、
それがどうして偉大なことであろうか…
すなわち…
『何もないところ』から何なりと望むものを造り出せるのが神である…

其れが、その後のキリスト正統派に於ける
正しい『ドグマ』=教理として定着する…

然し乍ら、おそらく一般のキリスト正統派信者には、
とても付いていけない代物であったのです…

本日のメッセージのタイトルを…
『反グノーシス主義のよふなグノーシス宇宙創生神話』と名付けたのは…
此のよふな意味があってのことなのです…

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
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2018.10.5[Fri]
『ジョルダーノ・ブルーノのエジプト主義』

『ヘルメス文書』をラテン語に訳したマルシリオ・フィチーノは
『ヘルメス文書』の中の哲学領域で…
最重要の著書である『アスクレピウス』に於いて
少しばかり無害な魔術に手を染め…
黙っておくといった試みに留まっていましたが…

『ジョルダーノ・ブルーノ』は此れを完全に捨て去り…
ルネッサンス魔術を、其の異教の源泉へと連れ戻しています…

ブルーノは『アスクレピウス』に漂ふ『魔術』を抜きにして…
『宇宙の真理』は語れないと信じていましたので…

此れを無視して『キリスト教的ヘルメス主義』を構築しようとする
宗教的ヘルメティズム運動を軽蔑していました…

そして自身は其れとは違ふ…
『エジプト主義者』であることを堂々と宣言するのです…

彼は、ギリシャ人たちの自然神崇拝やエジプト人たちの宗教が…
キリスト教徒たちによって破壊されたことを嘆き…
ギリシャ人やエジプト人の宗教祭祀によって…
神的なイデア、知性界の太陽、そしてネオプラトニズムの唱える『一者』に接近しました…

ジョルダーノ・ブルーノは…
マルシリオ・フィチーノによってラテン語に翻訳された『ヘルメス文書』の中の…
『アスクレピウス』をイタリア語に翻訳します…

そして、エジプト人たちの驚嘆すべき魔術的宗教が戻ってくることを固く信じ…
彼らの悪徳律がその当時のイタリア・ルネッサンス期の混沌に取って代わり…
其処に漂ふ暗黒を追放すべき光の回帰の徴(しるし)を見い出すのです…

其れこそがブルーノにとっての、コペルニクスの観た太陽…

ブルーノが…
宇宙を『48区分』として捉えていたのは…
シュメール・エジプト起源の『黄道十二宮の円陣』と…
ローマ神話のユピテル神による『三六柱の神々』を…
重ね合わせていたからなのです…

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佐々木岳久展
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2018.10.4[Thu]
『イタリアの歴史の特異性』

此のことは…
『ニッコロ・マキアヴェッリ(Niccolò Machiavelli)』
(イタリア、ルネサンス期の政治思想家、フィレンツェ共和国の外交官)
…の名前を想起するだけで充分に納得できることである…

マキアヴェッリは…
理想主義的思想の濃度が高かったルネッサンス期に於いて…
政治は宗教や道徳から分断して思考すべきであるといふ思想を持っていて…
プラトンやアリストテレスのような古代ギリシャの哲学者とは異なり…
政治活動に直接携わり乍ら、海を持たない『フレンツェ』に於いて…
現実主義(リアリズム)的な政治理論を創始したからである…

言い換えるのであれば…
非常にパースペクティズム(遠近法主義的)な視点を持っており、
闘い方を熟知していた人物なのだ…

ルネッサンス期に於いて…
イタリアは(特にローマに於いては)ヴァチカンのお膝元にあって…
教会権力や神学との格闘が、絶え間無く繰り広げられてきたことは言わずもがな…

此のよふな傑出した哲学者が数多現れた…
『イタリアの歴史の特異性』が、こうしたところに見受けられるのである…

ジョルダーノ・ブルーノに関しても同様のことが言えるのであり…
スコラ的な閉ざされたキリスト教的宇宙観から…
一挙に近代的宇宙観へと、人間精神の視野を転換させたのである…

此のふたりに共通するのは神聖なる『人間喜劇』の構想によって…
(笑わせる意味での喜劇ではなくて、ダンテの『神曲』 を踏まえて)
現世における人間力による永続的秩序の確立である…

つまり、変転と革新による秩序の維持拡大の実現を試みたのだ…
其の為には、どふしても始源への回帰による革命が必要不可欠であった…

ちなみに、マキアヴェッリの横顔は…
イタリア・ワインの『マキアヴェッリ・キャンティ・クラシコ』の…
ラベルに刻まれています…

以下の動画は『フィレンツェ』の景色です…

『フィレンツェ』には、ドゥオーモから直ぐ近くのSTUDIO通りに…
『ZECCHI(ゼッキ)』といふ世界的に有名な画材屋があり…
私も滞在中に立ち寄りました…

『Firenze(フィレンツェ)』
https://www.youtube.com/watch?v=F282ZqirqME
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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
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2018.10.3[Wed]
『波羅蜜多』

ずっと『キリスト教』関連のことばかり書いてきたので…
本日は箸休めで…
『キリスト教』から…
『仏教』に視点を変えてみることにします…

『仏教』に於いて『釈迦』が説いたことは…
我々は、どうしたら幸せになれるかといふことであり…

例えば…
『般若心経』の一節『波羅蜜多(はらみつた)』は…
人々が欲や煩悩から解放された…
更には輪廻転成の生存に於いての『悟りの世界』であります…

宗派が変わっても『真理』は同一であると…
わたしは想っています…

こふいったことに『想い』を巡らせることが…
わたしにとっては生きる力(創作活動のエネルギー)になるのです…

わたしはとても…
『劣等感』を抱えて生きてきました…
今現在に於いても其れは拭えません…

誰も彼もがわたしより…
優れた世界観を持って生きていると想えてならないのです…

其のよふな『劣等感』を乗り越える為に…
どのよふにしたら良いかを…
常に考えてきたよふに想います…

言い換えれば…
『延長線上にある悲劇』を常に自分自身に…
言い聞かせてきたのです…

わたしの此の『メッセージ』は…
決して外部世界に発信しているものではありません…

わたし自身にとっての…
『絶対的幸福』を追求することの『備忘録』に過ぎないのです…

此の『探求』をやめて終ったら…
わたしは『堕落』して終うといふ『想念』に囚われているのです…

此の『探求』はわたしにとって…
本音を言えば『苦行』其のもの…

誰に頼まれた訳でもないのに…
此のよふな『道』を辿ろふとすることは…
わたしにとっても全く説明のつかないことです…

わたしにとっての『創作活動』…
つまり『芸術』とは…
『悟りの世界』を実現させてくれるための…
唯一の方法としか言いよふがありません…

このよふなことを書くうちに…
脈絡なく、わたしの脳裏には『三十三間堂』が浮かびます…

『千体千手観音立像』は…
『千』といふ『無限』の秘密を持っています…
(実際には1001体)

人々の悩み、苦しみを…
上辺だけでなく本質を見て救う…

人々は誰一人として…
救いから漏れてはいけない…
多くの手を差し伸べて救う世界があるのです…

大仏師は無限を超えた『湛慶』…

観音像の前には34本の柱が立てられており…
柱間は33となります…

『観音様』に非常に関係があり…
ただお出ましになっても…
わたしたちが近づくことが出来ないと…
ご縁が結ばれない…

相手が聞き入れやすい『人の姿』に姿を変えて…
近づいてきて教えを説く…

『観音様』は三十三に姿を変えて…
人々を救うのです…

そして『三十三間堂』には…
『白銀比』がたくさん隠されています…

『白銀比』とは…
1:1.4142といふ比率…

正方形の一片と対角線の長さのことであり…
相似を無限に創り出すことができるのです…

わたしの故郷『石巻』…

実家の裏山にも…
『三十三観音像』があります…

幼き頃…
わたしはこの山を…
何度も登っては降りたものです…

『三十三間堂』
https://www.youtube.com/watch?v=CsLgd_e5cXY

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
open 11:00-19:00
※月曜・火曜 休廊  ※最終日は17:00で終了となります

ギャラリーカフェ ストーク
〒365-0037
埼玉県鴻巣市人形 4-4-113
TEL.090-1122-9127
https://gallerycafestork.jimdo.com
●JR高崎線「鴻巣駅」東口から2km

2018.10.2[Tue]
『ヘルメス文書(もんじょ)』

さて、本日のメッセージは…
昨日の内容( 2018.10.1[Mon]『デミウルゴス(創造神)』)を踏まえた上で…

同じ箇所に相当する部分を…
本格的に『ヘルメス文書』に見い出してみたいと想います…

ヘルメス・トリスメギストス(作者多数)によって著された冊子群…
『ヘルメス文書』は、物凄く簡潔で、無駄が全くなく、抽象度の高い書物です…

中でも『ポセイドニオス(紀元前135〜紀元51)』(著)の…
『ポイマンドレース』は最高峰に位置します…

最近わたしは『グノーシス主義』について盛んに述べてきましたが…
(此れだけでも膨大で支離滅裂な思想ですが…)
此れを頭に叩き込まないと…
『ヘルメス文書』は…
『隠語』で書かれているため…
字面(じづら)が目に入るだけで、一行も読めない類のものなのです…

『ヘルメス文書』を読むためには…
『グノーシス主義』の理解を徹底的に深める必要があります…
(グノーシス自体が、古代ギリシア語で『認識』といふ意味)

特に重要となってくるのが…
『プトレマイオスの教説』と『三部の教え』となります…
何故ならば『ヘルメス文書』よりも具体化されて書かれているからです…

書物を読み解く際には順番があって…
古いものから新しいものへと移行して良い場合と
そふでない場合とがあり…

『グノーシス主義』や『ヘルメス文書』に関しては…
新しいものから古いものへと、時代を遡らなければならないのです…

そふいった意味で…
今わたしは『グノーシス文献』を読み漁っている訳です…

それでは…
『ヘルメス文書』の中から一番古い…
『ポセイドニオス(紀元前135〜紀元51)』(著)の
『ポイマンドレース』の原文(一部抜粋)をご紹介致します…

『プトレマイオスの教説』と『三部の教え』の宇宙創生神話の中の…
七つの惑星天(ヘブマドス)と同位置にあたる箇所…

つまり主として…
『地(冥界)』と『月下界』と
『月』『金星』『水星』『太陽』『火星』『木星』『土星』に相当する内容で…
太陽系の第三レベルの話になります…
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『ポイマンドレース』(一部抜粋)
(以下)

さて、神なるヌースは男女(おめ)であり、
命にして光であるが、ロゴスによって造物主(デミウルゴス)なる
もう一人のヌースを生み出した。
彼は火と霊気の神であって、ある七人の支配者を造り出した。
この者たちは感覚で把握される世界(コスモス)を円周によって包んでいて、
その支配はヘイマルメネー(運命)と呼ばれている。
神のロゴスはただちに下降する元素から飛び出して、
ヒュシスの清い被造物の中に入り、造物主(デミウルゴス)なるヌースと一つになった。
それ(ロゴス)は造物主なるヌースと同質であったからである。
そこでヒュシスの下降する元素は、ロゴス無きままに取り残され、
質量(ヒュレー)は孤立して存在した。
さて、造物主(デミウルゴス)なるヌースはロゴスと共にあって、
世界の円周を包み、これをシュルシュルと回す者であって、
自分の被造物を回転させ、限りない始めから
無限の終わりの時まで回転するままにしておいた。
それは、終る所で始まるからである。
ところで、被造物の円転運動はヌースの意のままに、
下降する元素からロゴス無き生き物をもたらした。
それはロゴスを持っていないのである。
すなわち、空は飛ぶものを、水は泳ぐものをもたらした。
それから、土と水とは、ヌースの意のままに、
違いに分離し、〈土〉は自分の中から孕んでいたもの、
すなわち四足獣と這うもの、野獣と家畜とを産出した。
さて、万物の父であり、命にして光なるヌースは自分に等しい
アントローポス(人間)を生み出し、これを自分の子として愛した。
と言うのも、彼は父の像を持っていて甚だ美しかったからである。
すなわち、父も本当に自分の似姿を愛したので、
自分の全被造物をこれに委ねたのである。

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佐々木岳久展
『ジョルダーノ・ブルーノの48区分の星座浄化』
ユピテル神の道徳的自己改革、そして悪徳を象徴する外部の諸星座追放の物語。
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9月26日(水)〜10月14日(日)
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2018.10.1[Mon]
『デミウルゴス(創造神)』

異教『グノーシス』と『キリスト教』が結びついた『天地創造』…
其れは『ヴァレンティノス派プトレマイオス』の神話図…

30柱の『アイオーン(神)』が住まふ『プレーローマ界』は…
被造物世界を超越した『最上位世界』のよふなテクニカルターム…

『アイオーン(神)』とは『時代』や『永遠』を意味します…

此れは、笑える余談ですが…

『アイオーン』はラテン語で書くと…
『AEON(イオン)』となります…
其の名を拝借した『スーパーマーケット』や『英会話学校』が…
日本にはありますね…

『プレーローマ界』は『不可視』な領域で最高峰に神聖な場所です…

話は変わり…
我々の住まふ此の被造世界を創造した神…
つまりは『天地創造』の神…
『デミウルゴス(創造神)』は…
此の『プレーローマ界』より、ずっと下の天界に位置しています…

『プレーローマ界』からのソフィア過失・転落…
つまり第八天(オグアドス)に於ける
『アカモート(思い)』の出現が由来となります…

其の『アカモート』が…
『ソーテール(神格・救い主)』や『天使たち』と出逢い想像妊娠して…
『デミウルゴス(創造神)』が産まれる(流出する)訳ですが…

実は『デミウルゴス(創造神)』は…
『プレーローマ界』についての知識を全く持っていません…

『デミウルゴス(創造神)』は…
プラトン哲学に於いては世界を創る建築者としての神ですが…
グノーシスに於いては悪しき被創世界の創造者です…

『デミウルゴス(創造神)』は『アカモート』の住まふ…
第八天(オグアドス)のひとつ下の階層…

七つの遊星天(ヘブマドス)の『土星』に位置しています…

『デミウルゴス(創造神)』の名は…
『公共のために働く者』を意味するギリシャ語…

怒りの神でもあり…
また『旧約聖書にとっての神』でもあります…

『グノーシス主義』に於いては…
我々『人間』の『救済』は…
『世界の終焉』の時であるとの思想であり…

我々は…
その時『プレーローマ界』に於いて…
『救済』されるのですが…

実は…
此の『世界の終焉』にあっても…
『デミウルゴス(創造神)』は『救済』の対象とはなりません…

何故ならば…
『デミウルゴス(創造神)』は『モナド』を持っていないからです…

では…
『デミウルゴス(創造神)』によって造られた我々『人間』が…
何故『救済』の対象となるのかといふと…

実は『デミウルゴス(創造神)』が我々『人間』を造った際に…
『アカモート』が『モナド』を種子として…
『デミウルゴス』に植え付けたからなのです…

そふいった理由があって我々『人間』は…
『モナド』を持って、此の世に産まれてくるのです…

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